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山崎元の経済・マネーここに注目

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2010.09.10
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カテゴリ:カテゴリ未分類

ここのところ株価が低迷していることもあって、日本経済に関する悲観論を聞くことが多い。特に、人口減少を背景とした内需の低迷を原因として、相当に暗い将来像を持っておられる方が多い。日本経済の将来性に関して、筆者はもう少し明るい見通しを持っているが、現在の若者世代は、経済的な豊かさにおいて親の世代を超えることができないのではないかとも言われており、「生活が苦しい」と感じる人が増えている。

現在の状況には、政策が解決すべき問題もあるし、時間が解決してくれるであろう問題もあるが、個人個人が生活を合理化することで解決できる問題も多いのではないか。

以前に、このメルマガの拙稿で、初産年齢の高齢化トレンドに疑問を呈して、できれば若い頃に子供を生む方が経済合理的なのではないかと指摘したことがあったが(注;特に産休前後の時間の「機会費用」が安いことに注目した)、これと似た感覚で、トレンドに逆らうけれども、実は経済合理的ではないかと思うのは「生活における規模の経済性」ということだ。

「規模の経済性」というのは、主に生産において、小規模よりも大規模に行った方が生産されるモノの単価コストを低下させることができることを指す経済学用語だが、これを個人の生活にももっと活かす余地があるのではないかと思うのだ。

規模の経済性を個人の生活に適用すると考えると、いささか乱暴だが、戦前から戦後間もないころまでの、日本がまだ物質的に豊かでなかった頃の、「貧乏人の子だくさん」などと言われた頃の大家族同居の生活形態を思い出す。当時、子だくさんで人数が多くても、何とか暮らせたのは、住居や炊事など基本的な生活要素をまとめることで、生活に規模の経済性が働いていたからだ。

その後、日本は経済的にどんどん豊かになって、それと共に、個人の自由とプライバシーを重んじるような生活形式が浸透して、いわゆる「核家族化」が進んだ。

もちろん、単身生活も含めて核家族的な暮らし方の気楽さも捨てがたいのだが、核家族の生活スタイルは、一人当たりの生活コストが高いことが否めない。

だからといって、現代にあって、昭和の前半のような大家族にいきなり戻ることは難しそうだ。しかし、例えば、いわゆる「二世代住宅」のような居住形式で、生活のコストを合理化することは可能ではないだろうか。直接的には、住居のコストが、二軒分の土地と家屋を別々に用意するよりも安いし、家屋の形態にもよるが、炊事や掃除のような家事にあってもコストの節約が可能だろう。自動車などを持っていても、有効に使えるだろう。

また、筆者が最も重要なポイントだと思うのは、若い方の世帯の妻の仕事の問題だ。夫と妻の両方が働くいわゆる「ダブル・インカム」が、生活を支える上で必要な場合もあるし、人生のやり甲斐を考える場合に女性も十分に働きたいと思うケースも多い。しかし、こうした場合に困るのが子育てを中心とする家事だ。

子供の保育園を首尾良く確保することができても、定時に子供を迎えに行かなければならない状況であれば、残業ができないなど、仕事の自由度は大きく制約される。ここで、例えば、子供のおばあちゃんが、保育園に迎えに行くことができると、妻の仕事の自由度は顕著に改善する。

女性のキャリア・プランニングを見ると、当初は男性社員と同じように働いていても、出産によって何年か離職し、その後、パートタイムのアルバイトのような形で復職することが多いのだが、復職後の収入は若い頃の収入を大きく下回るようなケースが大半だ。近年、産休を制度化して、1年ないし2年程度の休職と元の職への復職が可能な会社が増えてきたが、子供が小さいときに復職する上では、近所の保育園だけでは不十分な場合が多い。こうした状況下で、親世代の家族が同居ないし、近所に住んでいると、元の職場に復帰したい女性にとって、決定的に貴重なサポートになり得る。

規模の経済をさらに推し進めて考えると、住居用の不動産の規模を拡大して、何らかのビジネスに貸し出すような収益化も考えられるし、もちろん、アパートを併設して賃貸収入を得る、昔からあるような大家さん業も組み合わせることも考えられる。

また、親世代夫婦と子世代夫婦が住む文字通りの「二世代住宅」も規模の経済性を活かす方法だが、複数の友人と同じ敷地に住むルームシェアの進化形のような暮らし方もあり得るだろう。二世代の方が、相続上のメリットがありそうだが、親子同居以外にも、生活に「規模の経済性」を持ち込むという基本的なアイデアの下に、現代にふさわしい形を模索すればいい。考えてみると、結婚だって、家族以外の他人との同居だ。

もちろん、ライフスタイルは人それぞれだから、押しつける気はないのだが、生活の経済効率を考えてみると、通念とはむしろ逆方向の暮らし方が合理的な場合がある。以下は一例だが、先入観を捨てて、損得を考えて見て欲しい。

「結婚は早い方がいいか?」、「早い方が経済的だ」。
「出産は早い方がいいか?」、「早い方が合理的だろう」。
「子供は多い方がいいか?」、「多い方が一人当たりの育児コストが下がる」。
「核家族よりも二世代住宅がいいか?」、「二世代が効率的だ」。
「不動産は大きい方がいいか?」、「可能ならいい。ただし、経済的に有効活用したい」。

==========================================================楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第82号 2010年9月10日発行より) ==========================================================





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最終更新日  2010.09.13 17:32:10



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