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カテゴリ:考える
学術書はなかなかよみずらいものですが、学者が語りあう本は、楽しいものがあるものです。
『「宇宙はすべてを教えてくれる 未知なる「知」への探求 タイムマシーンから地球外生命体まで」佐治晴夫、佐藤勝彦著 PHP研究所 』 自分の専門分野を他分野と関連づけて話せる学者二人の対談なので、とても面白いです。 宇宙を研究することは、人間を研究することでもあると二人は述べています。 ですので、この本には宇宙とはなんだろう?という話題とともに、人間とはなんだろう?と頭を刺激する話題がちりばめられています。 『「宇宙の年齢は何歳ですか?」といわれたら・・・(略)それがもう、いまや、「137億年です」という三桁の数字でいえるような時代になったわけですね。』 宇宙の年齢の壮大さは人類の歴史からみると果てしないものですね。 対談の中に、断片的にさまざまな話が挿入されているので、気楽に物理の世界をのぞくことができます。 『・・(略)最新の話題として、いわゆる、多次元の宇宙論と呼ばれるものについてお話しましょう。これは、われわれの世界はもともと、10次元とか11次元の世界だったという考えです。われわれが認識しているのは、縦、横、高さという三つの方向と、過去から未来へという時間の一つの方向という、3プラス1で四次元の世界です。でもじつは、われわれの宇宙は本来、10次元や11次元という高次元の世界であって、空間方向は三次元だけは見えるけれど、後の次元は、何らかの理由で見えなくなっているのだ、というのが多次元の宇宙論です。これは、いまの物理学の基本的な法則を統一する考え方として、主流の考えになってきているわけですよね。』 その他、量子論、カオス理論、等学術的な話題がさまざまに会話にでてきます。 著者たちは、それらを「人間にとってどう意味があることか」といった視点で紹介します。 『この前も、ある県の高校の理科の先生たちの会に招かれて、宇宙の成り立ちとかいろいろなことをお話したんですね。すると最後に、物理の先生が「佐治先生が今日お話されたことは、わたしは全部知っています。それよりも、ビックバン以前の宇宙がどうなっていたとか、その辺の最新の研究成果をじつは聞きたかったんです」とおっしゃいました。それで、私はその先生に申し上げました。 「確かに。先生は物理を専門に勉強されたのですから、私が今日お話したことはご存じだったと思います。でも、大事なのは、たとえば宇宙はビックバンで生まれたという、先生がご存じであったということを授業で話して、それが生徒の人生観にどのような影響を及ぼすかということではないでしょうか。・・・・ やはり、われわれが科学によって知りえたことは、単に知識として頭に入っているだけではなく、それが自分の人生観にいかように反映されるかがとても大事なんだと思います。』 これは佐治氏のエピソードです。 知識を知識として終わらせないために、どう使うか。 著者たちは、教育、美的感覚、戦争に対する姿勢、など生活に密着した部分を学問的視点から眺めるとどうなるか、という視点を惜しみなく提供しています。 今日は後1時間になってしまいました。 なんとか、今日中に書き終わりましたが、夜もすっかり更けました。 もし、昨日の予告で今日の早い時間に日記をのぞきに来た方がいたら、どうもお待たせしました。 そして、お読みいただいてありがとうございます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年07月04日 23時01分22秒
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