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身体・感覚とアート

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ゆぱさん

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2006年10月09日
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「そこは310収容所よりも大きな収容所で、高さ2メートルくらいの頑丈な柵(さく)で囲われ、四隅に望楼(ぼうろう)が立ち、その望楼には、四六時中マンドリン(自動小銃)を下げたカンボーイが立っていた。


彼らも、独ソ戦でドイツの捕虜になった経験をもっているということだったが、ほとんど少年兵のように若く、夜になると、故里(ふるさと)を思って感傷にふけるのか、望楼の上で歌を歌っていることがよくあった。

(略)

ある日、昼食が終わってひと休みしていると、ソ連のカンボーイたち三人ばかりが一台の自転車を中にして、乗る練習をしている。

三人とも自転車に乗れないらしい。

自転車をひっくりかえしては大騒ぎしているので、われわれ日本人30人ほどがつぎつぎ自転車に乗って見せた。

なかには乗りながら逆立ちする者や手放しで乗る者などがいたので、カンボーイたちはすっかり驚いてしまって、

「ハラショー(素晴らしい)!ハラショー!ハラショー!オーチン・ハラショー!」

を繰り返していたが、こんな器用な日本人ばかりいるのに、なぜ、ソ連に戦争で敗けたのかと真顔になって尋ねてきた。

そこで

「おまえたちにに敗けたのではない。アメリカに敗けたのだ。おまえたちは火事場泥棒だ!」

といってやったところ、彼らには言葉が通じなかったのか、それとも言う意味が通じなかったのか、みんなポカンとしていた。

せいぜい十五、六歳だろうか、こんなに若くて戦争に駆り出された彼らである。

まったく無邪気なものであった。」

引用:「捕虜体験記4 (矢島張一氏回想 P346~350) ハバロスク地方篇 編集・発行 ソ連における日本人捕虜の生活体験を記録する会」





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最終更新日  2006年10月09日 08時06分25秒
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