『トゥー・ブラザーズ』
1920年代のカンボジア。
ジャングルの奥地の荒れ果てた寺院の跡地で、
2頭のトラが生まれた。
兄のクマルと、弟のサンガ。
仲のいい2頭は、両親とともにすくすくと育ってゆく。
そんなある日、一人のイギリス人冒険家エイダンが、
仏像を盗掘するため、この地にやって来る。
そして、盗掘の最中に突然姿を現わした父親トラを、
撃ち殺してしまう。
クマルはエイダンに拾われた後、サーカスへと売られ、
サンガは行政官の息子ラウールに引き取られた後、
カンボジア王への献上品となるのだった。
映像が、綺麗だった。
まるで、ハイビジョンで撮った、NHKの教育番組のよう。
子虎の、かわいらしいこと。
大人虎の、気高く美しいこと。
この本物の虎たち、どうやって撮影したんだろう?
動物タレント養成所?に入ってる虎たちとか?
でも、子虎と親虎を一緒に撮るって、大変そう。
子虎を咥えていく親虎とか、どうやって仕込んだんだろう?
それに、子虎たちの、芸達者なこと。
親を殺されて人間に捕まっちゃって、
お水を飲むのを嫌々するところとか。
指にしゃぶりついて、離さなかったりとか。
そして、安心しきって目を細めて、水を飲む表情。
こんな可愛い子虎ちゃん、いくらハンターでも、殺せないよね。
しかし、やっと慣れたと思った人間とも、また離れ離れ。
連れ去られようとする子虎を必死で追いかける、母親虎。
車から振り落とされてしまい、遠く去っていく車を見つめる、
母親虎と兄弟虎の表情。
あんな表情が、できるなんて。
そして、サーカスに連れてこられた子虎。
隣の檻に大人虎を見つけるが、うるさそうにされるだけ。
でも、弱って肉も食べなくなってしまった子虎に近づき、
しっぽでジャレさせる大人虎。
動物なのに、他人の子をかわいがる気持ち。
人間が作ったものだから、当然人間の解釈が入ってるだろうし、
虎がその時何を思ったのかなんて、分かりっこないけれど、
でも、伝わるんだよ。
虎の気持ちが。
どちらか一方が死ぬまで戦うために、闘技場で再会した兄弟。
お互いを思い出し、ジャレあう。
「兄さん!僕だよ!」
「お前…!生きてたのか!」
みたいな。
火に囲まれ、逃げ場を失った兄弟。
「ほら、大丈夫だよ!飛べるから来い!」
みたいな。
それにしても、人間って、ほんとひどいよなぁ。
追い詰め捕らえ、慰めに殺す。
虎は人間を襲うから?
虎の住処に勝手に入って来た人間が、悪いんじゃん。
仏像を切り倒し、象牙を奪い取り。
地球上で一番の害獣は、人間だよね。
お互い、懐かしの人とも再会を果たす。
しかし、あれだけ人間に虐待されてたら、
人間不信になっちゃわないもんか…?
仲良く2頭でジャングルの中に去っていく兄弟。
どうか、元気で3頭仲良く、生き延びて。
虎たちの名演に隠れて、人間が目立たなかったけれど、
カンボジア人の英語通訳の女性、天海祐希似で、
素朴で飾り気がないけれど、綺麗だった。
囚われの子虎と、自分の姿を重ねあわせるカンボジア王も、
切なかった。
かわいい、かわいいと、何回言ったことやら。
かわいそう、かわいそうと、何度思ったことやら。
目は潤みっぱなし、鼻はぐずぐず言いっぱなしの、映画でした。
芸能・野球ランキング、上がったり下がったり…。
今日は何位でしょう…?
【参考】
トゥー・ブラザーズ 公式HP
トゥ・ブラザーズ スペシャルサイト
Yahoo!映画 トゥー・ブラザーズ
『トゥー・ブラザーズ』
著:ジャン・ジャック・アンノー/カリーヌ・ルー・マティニョン
『トゥー・ブラザーズ ヴィジュアル・ブック』
著:ジャン・ジャック・アンノー/ベルトラン・フェリエ
♪本日のBGM
The OFFSPRING Greatest Hits
映画レビュー |