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『わたしの源氏物語』　著：瀬戸内寂聴


初めて「源氏物語」に出会ったのは13歳のとき。
千年の命を今に伝える〈王朝ロマン〉の面白さに取り憑かれて半世紀。

源氏物語完訳をライフワークとし、文学と人生を戦いぬいてきた著者が、
光源氏と彼を取りまく女たちの多彩な愛のかたち、恋のさまざまを、
縦横無尽に語る。

読み込むほどに奥深く、新たな発見に満ちた魅力の物語世界へ誘う。


源氏物語千年ということで、色々読んでみたいのだけれど、
なかなか手が出ず。

というか、これだけ多くの現代語訳が出ていると、
一体誰の訳が一番いいのか、分からないよね。

良し悪しというか、しっくりくるもの、違和感なく入り込めるもの、
それこそ、自分で読んでみないと分からないことだろうけれど、
これだけの長大作だと思うと、なかなか腰が重く。

『あさきゆめみし』は全巻持ってるのだけれどもねぇ。


そこで、源氏物語研究家としても有名な瀬戸内寂聴尼の一冊を。
ダイジェストというわけではないけれど、彼女なりの光君の捉え方、
彼を取り巻く女君たちの魅力を、あますところなく語っている。

それも単に魅力ばかりでなく、欠点もあげつらう辛らつさ。
その辛らつさの中に、源氏物語への愛情を感じる。


当時の平安貴族の生活や習慣にも精通している著者ならではの、
通り一遍で読んだだけでは決して気づかないであろう、
登場人物たちの行動に秘められた心の動きを、瑞々しく、
時には皮肉を込めて描く。

そして物語の登場人物だけではなく、作者である紫式部の性格や生活、
その容姿にまで、物語から解き明かす。
想像だけではなく、物語に現れる言葉の端々から掬い上げてゆく。
こういう作業って、楽しいだろうなぁ。


しかしまぁ、いつの時代も男と女は変わらない。
愛し、嫉妬し、恨み、裏切り、憎み、くっついたと思ったらまた別れ。

光君の手八丁口八丁にも驚くけれど、それが17歳だとかで、
8つも9つも年上の女君を口説くのだから、また驚き。
千年前の平安貴族たちは、なんとませていたことか。

平均寿命を思えば当然なのかもしれないけれど、
同じ17年を生きている間で、そこまで手練手管を習得するとは、
恐ろしくもあるけれど、現代の男たちにも見習って欲しいような（笑）。


『あさきゆめみし　全巻』

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【参考】
◆瀬戸内寂聴の著書は→　

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