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2015.02.20
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テーマ:ギリシャ(35)
カテゴリ:古代ギリシア
先日購入した書籍『ヘラクレスは繰り返し現われる 夢と不安のギリシア神話』を読破したので、紹介します。本の薄さに対して値段はやや高めでしたが、極めて興味深い内容で大満足でした!

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本書では、ヘラクレスというギリシア神話中最大クラスの英雄を、神話学や心理学的なアプローチで紐解いています。他神話の英雄との比較や、キリストとの比較まで内包されており、それを通してヘラクレスに対する新しい視点を得ることが出来ました。

特に興味深かった点は、ヘラクレスのものと伝えられる墓が無いことです。今でこそ彼は神話中の人物で、架空の存在だと皆が知っていますが、当時の人々にとってヘラクレスは非常にリアルな存在で、歴史上の人物・実在する神様でした。アキレウスやディオニュソス、ゼウスの墓(といっても、ゼウスの墓はクレタ島のみの伝承で、ゼウスを不老不死とするギリシア本土からすればアブノーマルですが)がある中で、彼だけ墓が無い、というのは確かに異質だと思われます。
本書では、彼の墓が無いことを「ヘラクレスは普遍的崇拝を受けていたから」と結論づけます。墓は英雄神の力の拠り所とされ、聖地的存在でしたが、逆に言うとそれは力の範囲が墓周辺に限定されてしまうことを意味します。墓が無いということは、ヘラクレスの力の範囲は土地に縛られないということであり、どこでも彼の守護にあやかることができるということです。それ故に、ヘラクレスの墓は存在しないのです。セネカの悲劇では、ヘラクレスに対して「この地球が全部お前の墓」と言及していますが、これはヘラクレスへの信仰は土地に縛られず、全ギリシア的に普及していたことを示しています。


墓以外にも興味深い内容がてんこ盛りで、ヘラクレスが好きなら是非とも読んで欲しい一冊でした。今まで知らなかったことが多く、かつて「ヘラクレスの輝跡」を執筆していた私ですが、ヘラクレスそのものの理解はそこまで出来ていなかったことを痛感しました・・・。笑 もちろん彼のエピソードは網羅していますが、深い考察は行き届いていませんでした。

余談ですが、ヘラクレスの輝跡執筆当時は今のように古代ギリシアの知識に関して豊富ではなかったので、読み返すと時代考証が割りとテキトーで面白いですね。笑





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Last updated  2015.02.20 22:46:00
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