シェイクスピアの書いた37の戯曲の中で最も人気が高く、日本でも最初に上演されたシェイクスピア劇として知られる「 ヴェニスの商人 」
貿易都市として栄えた16世紀末1596年のヴェニスを、実際にヴェニスでロケが敢行されています。 とりわけシェークスピアのファンでなくても一度は読んだ事があったり、名前だけは知っていると思われるあまりにも有名な 「 ヴェニスの商人 」の映画化です。 「もしも3カ月の期限までに借金が返せなかったら、アントーニオの肉1ポンドをもらう」 「 人肉裁判 」 をテーマに、迫害を受ける差別的世界の中にあって恨みに駆られ負の感情しか持ち得なかった男の悲しさと破滅。男の友情を描いたシェークスピアの名作です。
迫害される者の怒りや悲しみを背負ったシャイロックをアカデミー賞俳優であるアル・パッチーノが、ジェレミー・アイアンズ演じるアントーニオに侮辱された過去の恨みに加え、キリスト教徒であるグラシアーノ との駆け落ちによって最愛の娘ジェシカに裏切られた二重の苦しみによって、ますますキリスト教徒への憎しみをつのらせ、破滅へ追いやられていく人間の悲しさを、しぶく見事に演じきっています。
この映画で好感が持てるのは、当時宗教上の差別としてユダヤの弾圧やキリスト教徒のユダヤ人に対する考え方とかが忠実に描かれていて、観るものにとって、ユダヤ人である高利貸しのシャイロックの屈辱感とか迫害される者の悲哀というこものを、伝える事が出来ている点にあると思います。
この映画を観て、本来ならキリスト教のタブー視する高利貸しという悪人キャラとしてのシャイロックに、むしろ同情と彼らの立場の理不尽さへの疑問とかが印象づけられる描き方をしているからです。
アル・パッチーノの好演が光っているといえるのかもしれませんね。
この映画は恋愛を描くというよりは、男同士の信頼の絆と友情、宗教上の差別的社会をより印象的に表現されています。
ポーシャがバッサーニオとの婚約の祝いの席の時に意味ありげに渡した指輪・・・
現代の女性的視点から観ると、最愛の女性ポーシャとの一生をかけた約束よりもアントニオとの男の友情から大切な指輪をお礼として渡してしまうバッサーニオに、多くの女性なら 「あなたは私よりアントニオとの友情ほうが大事なのね?」 ・・・などと言ってしまいそうな(笑) そんな気がします。
ただ、それは頭ではしょうがない事とわかっていても誰よりも自分への愛が一番強いと願う女性心理からなせるわがままではあるかもしれませんが、
いたずらでバッサーニオやグラシアーノ をいじめてしまうポーシャとネリッサの女心を微笑ましく応援して観ていました。
ラストのシャイロックの娘ジェシカが父を心配し思いを馳せるシーンが印象的に映し出しています。
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