テーマ:暮らしを楽しむ(387778)
カテゴリ:季節を感じて
おばあさんの畑は、名人の畑と言われていました。
女の子は、おばあさんが大好きでした。 おばあさんは 「大好きなお芋を植えましょう。」と女の子に話しかけました。 寒い冬が来る前に、来年のお芋の植え付けをするのです。 お芋が腐らないように、 切り口に灰を擦りつけてから植えつけました。 土をそっとかけたあと、おばあさんは女の子に言いました。 「平たい石をもってきてちょうだい。」 おばあさんが大好きだった女の子は、おばあさんの言うとおり 辺りそこら中の平たい石を持っていっては、 おばあさんに見せ 「これは、どうかしら?」とたずねました。 おばあさんは、 「ぞうりのような形をした石をさがすのよ。」 と言って教えてくれました。 おばあさんは、女の子の拾い集めた石をひとつひとつ お芋を植えたうねに沿って、並べていくのです。 女の子は不思議に思ってたずねました。 「どうして、お芋のとなりに平たい石をならべるの。」 おばあさんは、やさしく女の子の目をみて答えました。 「これから寒い冬がくるでしょう。 お芋が凍みないようにするのよ。 雪が溶け出すとき、石のまわりからとけるでしょう。 石は冷たいようだけど、石にも温度があるのよ。」 女の子は、持っている石をほっぺに当てたり、 地面を触って比べたりしました。 石を並べたあと黒いビニールの覆いをかけました。 「これでいつ寒い冬がきても安心だねぇ。」 おばあさんは女の子の頭をなでながら、ニコニコしていました。 女の子は、寒い冬になるのが、なんだか楽しみになって 青く澄んだお空を眺めるのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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