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最近の子ども達は、テレビやネットで情報を得、ゲームやおもちゃや公園で遊び、運動は学校の体育や「○○クラブ」で行い、知識は学校や塾で学んでいます。
それはつまり、「最近の子ども達は〝大人によって作られた世界〟の中だけで生きている」ということでもあります。 そしてそれは、ゲームの中の仮想世界と基本的には同じです。 私たちは毎日、魚や肉や野菜を食べて生きています。 それらはお店で買ってきます。ですから、子ども達はお店に並んでいる「お魚」や「お肉」や「野菜」しか知りません。 「そこから先の世界」を知らないのです。 時々、「子どもの中には、魚が切り身の状態で泳いでいると思っている子もいる」ということを聞きますが、これは事実です。実際、保育園の先生からも聞きました。 また、以前、幼稚園ぐらいの子に「牛さんのオッパイを飲んだことがある子」と聞いたとき、数人が「そんな汚いものは飲んだことがない」と答えました。 それで、「じゃあ、牛乳を飲んだことがある子」と聞くと、その子達も「飲んだことがある」と答えました。 多くの子が、「牛さんのオッパイ=牛乳」ということを知らないのです。 「お金」も同じです。 子どもにとって「お金」は、お母さん、お父さんから貰うものです。ですから、「ちょうだい」といえば無尽蔵に出てくると思っています。 子どもは、お母さんやお父さんがどのような苦労をしてお金を稼いでいるのか知らないのです。 私たちの世界が便利になればなるほど、社会や生活は「人工的な作りもの」になり、自然とのつながり、生命とのつながり、現実とのつながりを失っていきます。 そして、私たちの命や心やからだを支えてくれている「本当のこと」が分からなくなっていきます。 海が死ねば食卓に魚がのらなくなります。 自然が死ねば野菜は育たなくなり、肉も食卓にのらなくなります。 牛や豚や鶏は人工的に飼育されていても、彼らが食べているものは自然からの恵みだからです。 自動販売機にジュースを補充する人がいなくなれば、お金を入れてもジュースは出てこなくなります。 お父さんの仕事がなくなれば、いくら「お小遣いちょうだい」とせがんでも、お小遣いはもらえなくなります。 でも、人工的に管理された狭い世界の中だけで育ち、生活している子ども達にはその「私たちの命や生活を支えてくれている外の世界」のことが分かりません。 大人になっても分かりません。知識では知っていても、その知識が体験とつながっていないので感覚的に分からないのです。 ですから、「働かないとお金をもらえない」ということを知っていても、楽な仕事ばかりを探したり、ちょっと現実とぶち当たると、すぐに逃げてしまいます。 子どもがアリを殺したり、お花を摘むと「かわいそう」とか「残酷」といいますが、平気で牛や豚の肉を食べ、お花屋さんでお花を買ってきます。 大きなつながりの中で物事を見ることが出来なくなり、「目先の理想論」だけを振りかざすようになります。 山や野原や田んぼを切り崩し、埋め立て、公園を作り、「命を大切にしましょう」という看板を立てます。 いつもは「命を大切にしましょう」といっている立場の人が、「これは外来種だから駆除しましょう」と言います。 「人間による、人間に管理された、人間の価値観に基づく世界」ではそれは正しいことなのかも知れませんが、そのような世界は、「その人間の世界を支えている自然の世界」との整合性がありません。 それは木の上で、木の恵みによって生活している生き物が、好き勝手に木を食い荒らしているような状態です。 それではやがて木が枯れてしまいます。木が枯れたとき、その恵みによって生活していた生き物たちも死にます。 また、学校では「勉強しろ勉強しろ」といいますが、「何のために勉強するのか」は教えてくれません。多分、先生も知らないのでしょう。学校を出て、社会体験がないまますぐに先生になった人が大部分だからです。 現代人にとっての「勉強の価値」は、家庭と学校という閉鎖された世界の中にしか存在していないのです。 子どもが、「子どもの時にしか学ぶことが出来ないことや出来ないこと」を犠牲にしてまで毎日やらされ、学ばされていることなのに、やがて子どもが出て行かなければならない「外の世界」とのつながりがないのです。 このように、価値観的にも閉鎖された世界の中で暮らしている子ども達は、自分がその価値観に適合できないと感じたとき、自分の居場所を失います。 その価値観に違和感を感じた子も居場所を失います。 そして「自分はダメな子だ」と、自分を否定し始めます。 それでも大人は、そのような子どもに「この世界にはこの価値観しかないのだ、この価値観を受け入れないと生きて行くことが出来ないのだ」とさらにその価値観を押し付けます。 それで子どもはますます、身動きが取れなくなります。 でも、本当の世界はもっと広く、豊かで、人間はもっと自由なのです。 大人の人達は是非、知識ではなく体験を通して、そのことを子ども達に伝えて欲しいのです。「成績のための勉強」ではなく、「人生を豊かに生きるための勉強」と出会わせてあげて下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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