『マチェーテ』
チケット売り場で勢い込んで「『マチェーテ』大人1枚!」と言ったら、「ココとココ"以外"空いてます」と、知的美人のお嬢さんに満面の笑みでそう言われた。最終的にはあと5人ほど客がいて、計8名しか座っていない映画館。隣のヤマトには山ほど行列ができていたのに、この違いはなんなのだ・・・。(ちなみに私はヤマトよりハーロック派だ)私的にはキ○タクよりかっこいいと思うダニー・トレホの、初の主演作品だ。あの『グラインドハウス』の偽予告編からの、待ちに待ったぜこの映画・・・!!ダニー・トレホというだけで観に行く自分が、とっても可愛いと思う。撮ったのがロバート・ロドリゲスなため、いい加減な展開とちゃんと練られた展開が錯綜していて、またそのバランスがどうも微妙で、そのあたりは正直微笑ましいが、さすが従兄。ダニー・トレホの魅力は全開である。いつもであれば、ダニー・トレホが脇に回って支えるスティーヴン・セガールやロバート・デニーロが、逆に彼を引き立てるあり得ない構造に燃えてしまう。えらいぞセガール!太っ腹だぞデニーロ!そんな男気あふれる大物出演者に萌え、据え物斬りかと思うほどズバズバ殺される悪役の皆さんに萌える。CM通り死亡率のやたらと高い映画で、またその殺され方が本当にとんでもなくバッサリやられ、腸は引き出され体は切断され骨は砕け血はあたりかまわずまき散らされる。(おかげさまでこの映画、R18)死んでないのはおバカな4人組だけだったような・・・あれ?あのテキサス1の殺し屋ってどこに消えたんだ?ちゃんと死んだ?(文法が微妙に変だ)正直、あまりにも死にすぎて、誰が誰やら不明(笑)。とにかくよく死にます。しかもすごく痛そうに(笑)。でも痛そうなんだけど、殺し方は迫力があってカッコ良い。やっぱり殺戮は銃より刃物だ。いや、銃撃戦も好きなんだが。残虐ではあるのだけど、湿っぽくなくカラリとしており、一番残酷シーンであるはずの、マチェーテ兄の処刑シーンですら、その直前の銃撃戦と合わせてあまりに格好良く、これが男の死に方だぜ!といわんばかり。見ているこちらも男前度が上がる。ああ、とはいえダニー・トレホである。名前は知らなくとも、洋画のアクション物、とくにロドリゲス作品を見たことがあるならば、かならず1度はお目にかかっているはず。そうね、時代劇でいう福本清三さんみたいな方かしら。この人が脇に出ているだけでテンションが上がる人は、実は結構いるに違いない。ダニー・トレホがオーニングで死んじゃうから、私は『アナコンダ』の1が好きなのだ(本気)。『コン・エアー』で引きちぎられたダニー・トレホの腕がことのほか好きなのだ(本気)。一度見たら忘れられないあの強烈な容貌。低いしゃがれ声。見るからにワル、それも強烈なワル。人殺し?もちろんしてるに決まってるだろう!というあの姿形。そんな香りがプンプン漂う。実際、彼は服役期間が長かった。演技力云々以前に、人生経験による魅力と言える。(更生って、本当に素晴らしい人間力だ)このマチェーテ、そんな彼にとても相応しい役。今までにないほど紳士的で、女にモテて、そりゃあ人生酸いも甘いも味わってるからこその魅力よね。個人的に、オス臭プンプンなのにジェントルである、という男性くらい、女心が戦闘モードになることはないと思う。これはもはや、好みの問題ではないのである。さらりと移民問題も語りつつ、男の魅力を爆発させ、またそれに対する女の魅力も爆発させ、ひたすら肉食獣な物語を展開させる。その中心で光り輝くダニー・トレホ、私はあなたが大好きだ!