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2005/06/03
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カテゴリ:塾の日常風景
最近中高生の読書時間が増えているという。どうやら片山恭一「世界の中心で、愛をさけぶ」の影響らしい。若者が活字に接する時間が長くなるのはいいことである。

高校生にリアルタイムで読んでもらいたい本といえば、「ライ麦畑でつかまえて」(村上春樹訳は原題の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」)が思い浮かぶ。

この本は、青春時代を過ごす男の子の「みっともなさ、滑稽さ」が凝縮されていて、読んでてやりきれない部分がある。そんなみっともない部分を盛大に露出したサリンジャーが、長期間の隠遁生活をして表に出ない気持ちは、よくわかるような気がする。

この作品は、どれだけ多くのフォロワーを生み出したことか。尾崎豊だってこの小説がなければ、あんな痛々しい歌を唄って早死にしていないだろう。

私は自分の塾の生徒に「この本読めよ」「あの映画凄いよ」と、自分の気に入った本や映画を薦めるのが好きだ。

ただ自塾の高校生に、「ライ麦畑でつかまえて」を「俺の青春のバイブルだぜ」と、これ見よがしに薦めようとは思わない。というのも、「ライ麦畑でつかまえて」は私にとって「個人的な小説」なので、他の誰かに読まれると自分の内面を覗かれるみたいで恥ずかしい。
「ライ麦畑でつかまえて」に感動したと告白することは、部屋にこもって1人寂しくマスかいている姿を見られたような気分になる。

しかし、矛盾しているようだが、青春真っ盛りで主人公と同じ年齢の高校生たちに、リアルタイムで「ライ麦畑でつかまえて」を読んでもらい、大いに熱狂してもらいたい気もする。言葉にできない暴虐的な感情が、才気に満ちた書き手によって文字でくっきり代弁された時の、涙が出るような高揚感を味わってもらいたい。「ライ麦畑でつかまえて」は、優れた小説がどれほど人間を熱くさせるか、狂わせるかを知ってもらうための、格好の材料だ。

だから私は、塾の蔵書の中で生徒たちに一番人気があり、みんなが奪い合うようにして読んでいる「空想科学読本」シリーズの隣に、さりげなく野崎孝訳の新書版と、村上春樹訳のハードカバーを両方置いてあるのだが、誰も見向きもしない。見つけて読んでもらい、「この本凄い」という言葉を聞くのを待っているのだが・・・

「ライ麦畑でつかまえて」という題名が良くないのだろうか。「ライ麦畑でつかまえて」という日本語訳の題名は、ミュージカルの題名みたいだ。
ウクライナの広大なライ麦畑の中で、農家の可憐な金髪の女の子が踊り歌う。そんなイメージがある。

私も高校時代に友人に薦められて、買って手にとって読み始めるまでに1年ぐらいかかった。軟弱っぽい題名のせいで、食指が動かされなかった。それから英訳そのままの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」では、「フィールド・オブ・ドリームス」みたいな野球の話だと勘違いしそうだ。

題名だけ大いに意訳して「十七歳の地図」とでもすればいいかもしれない。





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Last updated  2005/06/03 12:12:52 PM



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