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散文小径

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2011.08.31
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 八犬伝じゃない里見の歴史、みんなはどこまで知ってるかな?
 さあ、一緒に追いかけてみましょう。
 時は戦国ただなかへ、いざ、出陣。


 古河公方家と里見家


 里見義頼と梅王丸を争わせた古河公方家の影響は、上総と安房を二分する程の内乱に発展しました。日頃より、里見家と古河公方家は親密だったのでしょうか?
 古文を覗きながら、ちょっと考えて見ましょう。


  猶々、このたき物はわか身合候まゝ、
  さん□なからまいらせ候、かしく、
  としのはしめの祝儀として、わさと人給候、御うれしく候、
  殊とんす一まき・れうし二そく給候、いわひ入まいらせ候、わさとハかり
  にすき原二そく・たきもの十貝まいらせ候、文のしるしまてにて候、
  又梅王丸しん上申され候太刀、をなしく一荷三種しん上候、
  めてたくおもひまいらせ候、わさと太刀・あふきつかハし候、
  絵はかの筆にて候、うち政よりしん上のまゝ、一入にて候、
  よろつ又□申候へく候、かしく、
     廿九日            よし氏(花押)
  「(切封墨引)
   さぬきまいる           よし氏


 この文書は天正7年正月29日に発せられた、古河公方足利義氏のものです。新年の挨拶ですが、この宛先〈さぬきまいる〉とは、里見義弘継室を意味しています。梅王丸の母ということで、幼子へあてた進物が文中に記されています。
 この頃、里見義弘の後継者争いが静かに始まっていたのでしょう。
 古河公方家が後ろ盾になるという意味も、この文中には籠められているに違いありません。
 足利義氏は、小田原北条氏の系譜につながります。
 バックにつくのは古河公方家であり、北条氏であるわけです。必勝の布陣ですよね。しかし、時代は里見義頼を選びました。
 こういう図式は、各地の戦国大名家でよく見受けます。
 バックを抜かりなく固めたのに、武田勝頼を口説き落として家督を勝ち取った上杉景勝の例が、もっとも比較しやすいと思われます。こちらも、ある意味、どんでん返しでした。
 さてさて。
 古河公方家はそののち里見家と疎遠になったかと思いきや、時代や情勢に応じて接近したりします。これは、関東特有の傾向です。上杉家もそうでしたが、関東には、一種、足利・上杉という貴種崇拝の暗黙があったのかも知れませんね。擁立した者が関東を制するといった、大義名分のような考えだったのでしょう。
 室町幕府も、三好長慶や松永弾正、織田信長のような、将軍の庇護者という建前と支配者という本音。その運命を巧みに利用するしたたかな将軍家。こういう図式が畿内にありました。
 古河公方家も、一時の諍いはその場だけにて、機を見て四方八方と接触してきたのだろうと思われます。

 ここで登場する梅王丸の母。
 記録では実名を知ることができません。夢酔の作品「春の國」では、その名を〈華〉と仮名しました。これは、彼女の戒名〈松雲院殿華巌英公大禅尼〉の一字をとったものです。後付けな話ですけど……(笑)。
 これ、先に記した講演会のときの質疑で
「女性のお名前の名づけ方は」
という質問に
「一般的には法名の一字ですが、彼女は解らなかったので知恵を絞って、イメージで」
と答えました。質問者は女性でしたが、この古河公方家からの継室に詳しい方で
「偶然、戒名に一字あります」
「えっ?」
 その方が示したのが、この戒名。思わず、会場、拍手。
 こんなこともありましたが、とりあえず性格的に考証資料がなかったので、「春の國」では青岳尼と瓜二つの容貌と、おっとり育ちのいい華像を描きました。実際にはどうだったのでしょうね。
 子を持つと、母になった女性は阿修羅にも羅刹にも変じるといいます。
 梅王丸を里見の後継者とするために、彼女は激しい烈女と化したことでしょう。
 日本最古の郷土雑誌というコピーの[房総及房総人]の平成21年6月号が、手元にございます。以前、里見香華先生から頂いたものです。そのなかに、作家・遠山あき先生の〈かづさ夜咄千一夜〉という一文があり、そこに古河公方家の姫のことが記されておりました。
 熾烈な家督争いを制した里見義頼は、梅王丸を許しても、この母を許しませんでした。この怒りの元凶は何か、正直、わかりません。
 琵琶首館に幽閉された梅王丸の母、そして妹は、ここで幽閉の果てに憤死したとも伝えられます。敗者を哀れむ後世の方々の感情かも知れませんが、とまれ滅びゆく弱者に、人は寛容です。



 10月1・2日は南総里見まつりです。
 夢酔もぜひ、今年は伺いたいと考えております。皆さんとお会いできたら、いいですね。
 このお祭りは、恥ずかしながら一度も足を運んだことがございません。
 ゆえに、心より楽しみにしております。


                  ◆  ◆  ◆



 戦国武将里見氏のNHK大河ドラマ放映を目指す「里見氏大河ドラマ実行委員会」が組織されています。里見氏終焉の地である鳥取県倉吉市、里見氏発祥の地の群馬県高崎市、そして館山市で、NHK側にドラマ化を働きかける運動を行っております。
「2014年に里見氏の物語をNHK大河ドラマで!」
 皆さまの温かいご声援をお願いします。


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Last updated  2011.08.31 05:36:15
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としぞう@ はじめまして うちも楽天からアメーバに変わりました。 …
夢酔 藤山@ Re:奥平家と大久保家(02/06) いっちぃさん 仰せの通りです。 この…
いっちぃ@ 奥平家と大久保家 奥平信昌の娘が大久保忠常(忠隣の嫡男)に…
夢酔 藤山@ こんばんは 10月1日の全国里見一族交流会・館山大会に…
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