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長押 綴

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2013.03.17
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カテゴリ:.1次メモ
「海だな」
「海か」
「海だろ」
「ウミ―」




「脳の断面」




目の前に広がっているのは、海……なのだ、が。


「……なあ、これやばいだろ……」
「…………」
「逃げていい?」
「佐藤お前」
「そうするか?」
「えっ」




 日本海を、肉塊が埋めている。


 ぎっちぎちに詰まった肉塊のせいで、水深があってないようなものになっている。
 この分じゃ、因幡の兎みたいに歩いて大陸まで行けるんじゃないだろうか。

「……なあ、高橋先生。あんたが目覚めた時はこんな風になってたのか?」
「いや……恐らく私が目覚め、川に沿って歩き出してからこうなったのだろうと思うが…」


 死体寸前の状態から超再生する俺達が言うのもなんだが、グロい。

「ふーむ、確か高橋さん、あなたがたの最大の特徴は『少しの栄養素と水分』だけで自動的に巨大化できるということだったね?」
 佐藤が随分と頼もしく見える。

「ああ………多分彼らも、」


もっ


初めにぴくりと動いたのはワタ、続いて観察の田中。

「え?」
「あっ」

SECOM田中と木鈴も戦闘態勢に入る。


もこっもぱっもぎゅっ


何だかよく分かっていないながらも興味深そうに海に近付いていく佐藤を止める突っ込みの田中、

泡が弾けるような、押し込んだ布団が反発してくるような、そんな音がして、続いて肉が剥がれ骨が折れるような異音、


「…………」

固まっているが何か悟ったような顔の高橋先生と落ち着こうとする俺、



そして……



「えっ?」




突然海の中から現れた巨大な腕に攫われたクール田中。


「……え、ちょ、っとま……あ゛っ」



めきめきとやつの体から悲鳴が聞こえ口から耳から全身から血を噴出しながらもなお再生し抵抗しようとするクール田中を、それは―――――……



「ぁっ」




海中へと、引きずり込んだ。





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最終更新日  2015.06.18 00:04:50
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