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カテゴリ:競馬関連本の感想
サンアディユの死について考えた時、現調教師藤沢和雄氏の
「競走馬私論~プロの仕事とやる気について~」詳伝社 黄金文庫。 を思い出しました。以前読んだ本ですが、この本について感想を書いてみたいと 思います。 調教師の本ではこの本を最初に読みました。読んだ理由は、「競馬についてもっと知り たい」という欲求からです。 予想本は読んでいましたが、それだけでは競馬の本質(?)に近づけないのでは ないか、競馬で本当に勝つには競馬とは何か?競馬に関係する人間とは一体何をしてい るのか?知りたいと思ったからです。 藤沢氏が競馬と知り合った時からタイキシャトルでフランスのG1を勝つまでが載って いる自伝的な本です。 この本の凄いところは「調教師としていかに馬を愛し・育てるか」を考え行動に移す 実践を克明に書いていること。自分がリーディングを取ったり海外G1で勝利した ことは二の次で、先ほど書いたブログ記事のような馬の故障について熱心に考え 行動する様を書いています。ほかの例を出せば 「レースに勝った後の口取りでは騎手を乗せない。馬は全力を上げて走ったばかり、 何かの拍子にガクっと力が抜けて体のどこかを痛めないとも限らないから(要約)」 馬主からすると、せっかくの口取に騎手不在ではカッコがつかないと思いますが、 あえてそれをしないのが藤沢流なのです。某有名冠オーナーの馬がいないのはこのせい かも(^^; 文庫本の最初に編集人から 「蛇足ながら、それらは競走馬の調教、厩舎の経営だけでなく、あらゆる仕事に当て はまる「哲学」でしょう。」 と書かれていますが、これは違う。調教師として馬に対する真摯な気持ちが素直に書か れている文章であり、ほかの仕事とは一線を画するものだと思っています。「哲学」は ありますが簡単に「仕事」という狭い範囲に入れるべき文章ではないと思っています。 その後いくつかの調教師本(森・小島・角居)を読みましたが、最初にこの本に 出会えて本当に幸せだと後から知ることになります。 後で読んだ本はいずれも「私はこうして名馬を作った」という自慢がハナにつきます。 内容も藤沢氏に比べると薄く感じます。 もし、馬を扱うこととは?を知りたければぜひ一読して頂きたい本です。あまり馬券には 役立ちませんが(^^;。馬券に役立つのは森調教師の本です(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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