カテゴリ:オレとボク
今日の日記
「アイツとオレ4」 久しぶりに行く大学。 朝は、シュウが同じ時間から講義があると言うことで、 いっしょに行くことになった。 シュウは同じ沿線だったから、途中の駅からいっしょになった。 シュウは、ちょっと嬉しそうな顔で、オレを迎えてくれた。 気遣ってくれてるのが、なんとなくわかった。 オマエ、いい親父になりそうだな…。 同じ歳なのに、そんなこと思った。 教室に入ると、一瞬、気付いた奴がこっちを見て、 周りも、それに気付いた感じだった。 バツが悪い。 「赤木くん!こっち、こっち!」 アオヤンがオレに気付いて、仲間の輪に加わるよう、 手招きして、肩を押していった。 「はよ~…」 オレが加わると、ちょっとしたイベントかのように、 皆が顔をほころばせた。 「何だよ、久しぶりじゃん!」 「何してたんだよ、オマエ!」 オレはちょっと照れ臭くなった。 「あ~、まあバイトとか~」 もともと、退屈な学校だったから、 みんなちょっとした事件が起こった気分だったのかもしれない。 でも、そんな騒ぎは最初だけで、 あとはスンナリ中に入れた気がした。 好奇心満々の目で、あまりしゃべったことのない奴が、離れたところから聞いて来た。 「休んでる間、遊んでたのか~?」 イヤな感じがした。 「ああ、そうだよ。」 聞いた奴が、そんな返事が返って来たことに、驚いた顔をしていた。 「一ヶ月も?」 「そうそう、一ヶ月も。」 オレは笑いながら、投げやりに答えた。 呆れた顔をして、そいつ等は、自分の話に戻っていった。 デカい声でのやりとりだったので、教室にいたほとんどが聞いていたんだと思う。 勉強を真面目にしてたような、お坊ちゃんばっかだよ。 人を見下すことが好きな。 自分と似たような仲間をみつけて群れて、 一人のヤツは弱いと思って、何を言っても大丈夫だと思ってる。 そういうのも、もうウンザリだ。 周りがどう思ったかは知らない。 でも、 どうだってイイんだよ、周りなんか。 勝手なこと言ってりゃいいんだからさ。 まだ、この時は、学校なんて辞めればいいし、 …と、心のどこかで思っていた。 「赤木くん…」 違うだろ?と、アオヤンの目が言っていた。 来るんじゃなかったな。 そう思った。 講義では、助教授だか教授だかが、 「一ヶ月も来ないから、もう来ないかと思いましたよ。」 と、笑いながらイヤミを言っていた。 「すいません…」 オレは堪えた。 でも限界だと思った。 次の時間、周りが移動を始めたが、オレはもうここにいたくないと思った。 オレは、以前休み始めた時のように、その間に学校を出ようとした。 「赤木くん行くよ~!」 ガシっと肩をアオヤンがつかんだ。 周りをアオヤンメンバーが取り囲んで、イヤでも行かざるを得なくなった。 こんなつまんないところ、 オマエだけ抜けるのは許さねーぞ! そんな感じだったけど、 もう流れに乗っちまおう… そう思った。 ここで逃げたら、オレはもう、ダメな人間になっちまうだろう…。 そんな気がした。 両親や、シュウたち、そしてアイツ。 オレのために動いてくれた人間のためにも、 自分のためにも、 オレはもう逃げたくない。 そうして、一日、何とかオレは学校で過ごすことができた。 一日が過ぎたら、二日目。 二日我慢できれば三日目。 そうしてオレは、大学に戻ることができた。 授業は相変わらず、オレの気持ちを滅入らせたけど、 終われば、気心の知れたアオヤンがいた。 それだけで、 オレの気持ちがずいぶん違ってることに気付いた。 夏休みが目の前だった。 オレは、アオヤンといっしょの沿線で帰ることにした。 歩きながら、アオヤンがつぶやいた。 「ボクだって、ここにいていいのか、わからないんだよ…。」 オマエだって、迷っていたんだよな…。 続きを読む 前の話を読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年03月27日 15時31分30秒
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