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りらっくママの日々

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2009年06月05日
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カテゴリ:オレとボク
今日の日記(「BOSS」「夫婦道」感想とお出かけ☆)


「アイツとオレ41」


ファミレスは、ちょっと混んでいた。

「混んでるね。」

「土曜だからね。」

待っている間が妙に落ち着かない。

「こんなふうに、ここにいるのが変。」

「変なの?」

「うん。赤木くんと昼間いるのは、会社なんだって思ってたから。」

「そうだね。
休みにいっしょにいるなんて、オレも考えもしなかった。」

家族連れが、タカダさんを押しのけるように詰めてきたので、
オレはタカダさんの肩を押して、俺の方へ引き寄せた。

タカダさんが微妙な距離でオレに触れる。
昨夜、彼女を抱き締めたことが蘇る。

オレは、タカダさんの手を握った。

周りの騒々しい日常的な風景の中で、
オレとタカダさんだけが静かに浮いているような気がした。

そのうち、店員が案内しに来たので、手を離す。

お互いパスタ系を注文した。
ドリンクバーで、飲物を持ってきたら、少し落ち着いた。

「スパゲティ好きなの?」
タカダさんが聞いた。

「うん。自分でもたまに作る。」

「それは初耳。」

「たま~にだよ。茹でて何かかけるか、炒めるだけじゃん。」

「そういえば、チャーハン作れるんだよね?」

タカダさんが思い出したように笑った。

「そう、グチャグチャの。卵が焦げたやつ!」

「で、もう二度と作らないって書いてなかった?」

「タカダさんが作り方書いたから、もう一度やったらマシになったよ。」

「そうだったの?
あれから作って食べてるの?」

「後片付けがめんどうだから~。」

「怪しいなぁ。美味しいの?」

「美味しいよ。作って食べさせたい位ね。」

「食べてみたいもんだね。」

そんなことできることは無いだろうな。
そう思っていたら、オーダーしたものが運ばれてきた。

「やっぱ、ちょっと二日酔いなのかな…。
あまり入らないや。」

「オレも…。
まあ、ゆっくり食べましょう。」

「そうね。」

「食べたら、どっか行きたいとこある?」

「う~ん、そうだな…」

お互いちょっと考える。
ただ、こうして、いっしょにいるだけで、何だか新鮮なんだけど。

ダラダラしてたら、少しずつつまんでいたせいか、
何となく食べ終わってしまった。


「人混みが嫌だよね。
何となく気ダルいし。」

「オレも同じだな。
じゃ、ホテルでも行って寝てる?」

「え…?」

「冗談だよ。
どっか遠く行かない?遅くなっていいの?」

「うん…大丈夫だよ。」

どこに行こうかな…と考える。
自然のあるとこ?
歩くの、かったるいかもな~。

ファミレスでダラダラしててもいいような気になってきた。

オレは正直怖いのだ。
二人きりになるシチュエーションが怖い。
まだ心にどこか迷いがある。

目的もなく、車って密室にいるのはヤバい気がした。
多分、冗談で言ったことをホントにしそうな気がする。

今日せっかく連れ出したのに、
そんなんでいいのかな?…って気がした。

そりゃあ、彼女が欲しいことは確かだけど。
ただ、いっしょにいられるだけで、今は嬉しい。
焦りたくない。

「海でも見に行く?」
オレがポツリと言ってみた。

「うん。行ってみたい!」
タカダさんが嬉しそうに言った。

そう決まると、すぐにファミレスを出て、
一番近場の海を目指して車を走らせる。
シーズンの終わった海なんて、人はいないだろうと思った。

でも、道はちょっと渋滞していた。

「進まないね~。」
タカダさんが言った。

「行くの嫌になっちゃった?」

「ううん。赤木くんが運転疲れないか気になる。」

「大丈夫だよ。」

「変わろうか?運転上手くないけど。」

「マジで?運転できんの?」

「時々乗ってる。運転させてみる?
オートマだし、何とかなると思う。…けど?」

「う~ん…。まあいっか。代わりましょう。」

オレはちょっと眠気を感じていたので、交代することにした。
彼女が運転する。

「何か、女の運転で助手席に乗るのは新鮮だな…。」

「何で?女に運転させない主義なの?」

「いや、運転する子と付き合ったことなかったし。
そんなこと言う子いなかったし。」

「そうなんだ?じゃあ遠出すると疲れちゃうでしょ?」

「はは…。そうかもね。代わってもらうなんて、考えもしなかった。」

とはいえ、自分の運転じゃないと、結構ヒヤヒヤするもんだ。
ブレーキをかけるタイミングが違うせいかもしれない。

それでも、渋滞のせいで、
前の車のブレーキの赤いランプを見ていたら、
気付くとウトウトして眠っていたらしい。

「赤木くん!赤木くん!」と、タカダさんが呼ぶ声で目が覚めた。
気付くと道が流れている。

「どうしよう?!この先右?左?」

「え~っと…」
いきなり言われてもここがどこだかわからない。
ちょっと慌てる。
道が突き当たりまで来たようだ。
「待って、えっと、この先の突き当たりを、左!
まだ曲がっちゃダメだよ!」

アタフタしながら、説明する。
「ここね?あの青い看板の先だよね?」

左折するとお互い、ほ~っとため息をついた。

「どっかコンビニみつけたら、代わろう。」

幸い、道は合っていた。
コンビニで小休止。
飲物を買って、外で飲む。

「あ~、焦った。ゴメン、オレ寝ちゃってたみたいで。」

「うん、いいの。
ちょっと役にたてたようで嬉しいし。
寝てたの知ってたから。
寝かしてあげたかったの。
でも、わかんなくて起こしちゃった。ごめんね。」

タカダさんは、ホントにそうしたかったみたいだった。
それがちょっと嬉しかった。

「ありがと…。
もう、大丈夫そうだから、オレが運転するよ。
今度はタカダさん寝ていいよ。」

「私は朝方寝ちゃったせいか、目が冴えてるのよ~。
でも、眠かったら寝ちゃうかも。
その間、寝ないでね?」

「有りえる…。起きたのはぶつかった後だったりしてね?」

「そんなこと言われたら寝れないじゃない~!!!」

お互い笑って車に乗り込んだ。
海が見えるとタカダさんがはしゃいだ。

「お疲れ様~!」
飲物で乾杯する。

遠くで、サーフィンしてる人たちと、
ウィンドサーフィンしてる人たちが見えた。

「寒くないのかな?」

「ボディスーツ着てるから大丈夫なんじゃない?
いいな~。楽しそう!」

砂浜に座って、海を眺めていると、
何も言わなくても、何だか落ち着いた。

オレはあることを思い出して、
タカダさんに質問してみた。

「海って言うと、どんな海を思い浮かべる?」

「何…?心理テストか何か?」

「そう。」

「う~ん、そうだな…。」
タカダさんが考える。

「浮かんだ?
状況を詳しく教えないとダメだよ。
自分のいる位置とか、波とか、
時間とかさ。」

「うん、浮かんだ!」

タカダさんが、ワクワクした感じで、オレの顔を見た。
この質問をしたのは学生の時以来だ。




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最終更新日  2010年03月27日 17時22分28秒
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