カテゴリ:オレとボク
今日の日記(「BOSS」「夫婦道」感想とお出かけ☆)
「アイツとオレ41」 ファミレスは、ちょっと混んでいた。 「混んでるね。」 「土曜だからね。」 待っている間が妙に落ち着かない。 「こんなふうに、ここにいるのが変。」 「変なの?」 「うん。赤木くんと昼間いるのは、会社なんだって思ってたから。」 「そうだね。 休みにいっしょにいるなんて、オレも考えもしなかった。」 家族連れが、タカダさんを押しのけるように詰めてきたので、 オレはタカダさんの肩を押して、俺の方へ引き寄せた。 タカダさんが微妙な距離でオレに触れる。 昨夜、彼女を抱き締めたことが蘇る。 オレは、タカダさんの手を握った。 周りの騒々しい日常的な風景の中で、 オレとタカダさんだけが静かに浮いているような気がした。 そのうち、店員が案内しに来たので、手を離す。 お互いパスタ系を注文した。 ドリンクバーで、飲物を持ってきたら、少し落ち着いた。 「スパゲティ好きなの?」 タカダさんが聞いた。 「うん。自分でもたまに作る。」 「それは初耳。」 「たま~にだよ。茹でて何かかけるか、炒めるだけじゃん。」 「そういえば、チャーハン作れるんだよね?」 タカダさんが思い出したように笑った。 「そう、グチャグチャの。卵が焦げたやつ!」 「で、もう二度と作らないって書いてなかった?」 「タカダさんが作り方書いたから、もう一度やったらマシになったよ。」 「そうだったの? あれから作って食べてるの?」 「後片付けがめんどうだから~。」 「怪しいなぁ。美味しいの?」 「美味しいよ。作って食べさせたい位ね。」 「食べてみたいもんだね。」 そんなことできることは無いだろうな。 そう思っていたら、オーダーしたものが運ばれてきた。 「やっぱ、ちょっと二日酔いなのかな…。 あまり入らないや。」 「オレも…。 まあ、ゆっくり食べましょう。」 「そうね。」 「食べたら、どっか行きたいとこある?」 「う~ん、そうだな…」 お互いちょっと考える。 ただ、こうして、いっしょにいるだけで、何だか新鮮なんだけど。 ダラダラしてたら、少しずつつまんでいたせいか、 何となく食べ終わってしまった。 「人混みが嫌だよね。 何となく気ダルいし。」 「オレも同じだな。 じゃ、ホテルでも行って寝てる?」 「え…?」 「冗談だよ。 どっか遠く行かない?遅くなっていいの?」 「うん…大丈夫だよ。」 どこに行こうかな…と考える。 自然のあるとこ? 歩くの、かったるいかもな~。 ファミレスでダラダラしててもいいような気になってきた。 オレは正直怖いのだ。 二人きりになるシチュエーションが怖い。 まだ心にどこか迷いがある。 目的もなく、車って密室にいるのはヤバい気がした。 多分、冗談で言ったことをホントにしそうな気がする。 今日せっかく連れ出したのに、 そんなんでいいのかな?…って気がした。 そりゃあ、彼女が欲しいことは確かだけど。 ただ、いっしょにいられるだけで、今は嬉しい。 焦りたくない。 「海でも見に行く?」 オレがポツリと言ってみた。 「うん。行ってみたい!」 タカダさんが嬉しそうに言った。 そう決まると、すぐにファミレスを出て、 一番近場の海を目指して車を走らせる。 シーズンの終わった海なんて、人はいないだろうと思った。 でも、道はちょっと渋滞していた。 「進まないね~。」 タカダさんが言った。 「行くの嫌になっちゃった?」 「ううん。赤木くんが運転疲れないか気になる。」 「大丈夫だよ。」 「変わろうか?運転上手くないけど。」 「マジで?運転できんの?」 「時々乗ってる。運転させてみる? オートマだし、何とかなると思う。…けど?」 「う~ん…。まあいっか。代わりましょう。」 オレはちょっと眠気を感じていたので、交代することにした。 彼女が運転する。 「何か、女の運転で助手席に乗るのは新鮮だな…。」 「何で?女に運転させない主義なの?」 「いや、運転する子と付き合ったことなかったし。 そんなこと言う子いなかったし。」 「そうなんだ?じゃあ遠出すると疲れちゃうでしょ?」 「はは…。そうかもね。代わってもらうなんて、考えもしなかった。」 とはいえ、自分の運転じゃないと、結構ヒヤヒヤするもんだ。 ブレーキをかけるタイミングが違うせいかもしれない。 それでも、渋滞のせいで、 前の車のブレーキの赤いランプを見ていたら、 気付くとウトウトして眠っていたらしい。 「赤木くん!赤木くん!」と、タカダさんが呼ぶ声で目が覚めた。 気付くと道が流れている。 「どうしよう?!この先右?左?」 「え~っと…」 いきなり言われてもここがどこだかわからない。 ちょっと慌てる。 道が突き当たりまで来たようだ。 「待って、えっと、この先の突き当たりを、左! まだ曲がっちゃダメだよ!」 アタフタしながら、説明する。 「ここね?あの青い看板の先だよね?」 左折するとお互い、ほ~っとため息をついた。 「どっかコンビニみつけたら、代わろう。」 幸い、道は合っていた。 コンビニで小休止。 飲物を買って、外で飲む。 「あ~、焦った。ゴメン、オレ寝ちゃってたみたいで。」 「うん、いいの。 ちょっと役にたてたようで嬉しいし。 寝てたの知ってたから。 寝かしてあげたかったの。 でも、わかんなくて起こしちゃった。ごめんね。」 タカダさんは、ホントにそうしたかったみたいだった。 それがちょっと嬉しかった。 「ありがと…。 もう、大丈夫そうだから、オレが運転するよ。 今度はタカダさん寝ていいよ。」 「私は朝方寝ちゃったせいか、目が冴えてるのよ~。 でも、眠かったら寝ちゃうかも。 その間、寝ないでね?」 「有りえる…。起きたのはぶつかった後だったりしてね?」 「そんなこと言われたら寝れないじゃない~!!!」 お互い笑って車に乗り込んだ。 海が見えるとタカダさんがはしゃいだ。 「お疲れ様~!」 飲物で乾杯する。 遠くで、サーフィンしてる人たちと、 ウィンドサーフィンしてる人たちが見えた。 「寒くないのかな?」 「ボディスーツ着てるから大丈夫なんじゃない? いいな~。楽しそう!」 砂浜に座って、海を眺めていると、 何も言わなくても、何だか落ち着いた。 オレはあることを思い出して、 タカダさんに質問してみた。 「海って言うと、どんな海を思い浮かべる?」 「何…?心理テストか何か?」 「そう。」 「う~ん、そうだな…。」 タカダさんが考える。 「浮かんだ? 状況を詳しく教えないとダメだよ。 自分のいる位置とか、波とか、 時間とかさ。」 「うん、浮かんだ!」 タカダさんが、ワクワクした感じで、オレの顔を見た。 この質問をしたのは学生の時以来だ。 続きを読む 前の話を読む 最初から読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年03月27日 17時22分28秒
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