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りらっくママの日々

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2013年11月14日
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カテゴリ:ある女の話:サキ
サキ2-17

平日の夜中の2時。。。

とりあえず証拠が残ればイイかと、無言女の番号は着信拒否設定をしていたのに、
知らない番号だったので、出てしまったのがいけなかった。

これだから、学生ってヤダ。
勤め始めてから、夜中の長電話なんてすることが無くなった。
翌日が休みでもなければ。
オマケに私は一人暮らしだから、
この時間の得体の知れない電話がどんなに怖くて気持ち悪いか。
今までの無言にプラスして腹が立つ。

私は切らずにいた。
あっちから話してくることは、コレが最後になるかもしれない。
放置してれば、飽きて諦めて切るかもしれない。
せめてもの仕返しだ、電話代がかかればザマアミロだ。

オンナの声が聞こえてきた。
「聞いてるの?ねえ?
私、、私、、
今まで何度もアナタとしゃべろうと思って、ちゃんと話し合おうと思って電話かけてただけで。。
けど、実際かけたら、どうしたらイイのかわからなくて切っちゃっただけなのに。。
なのに、みんなに私が無言電話してるとか、言いふらさなくたっていいじゃない。。」

無邪気なミサコちゃんの顔がすぐに頭に浮かんだ。
あの後、ミサコちゃんがバイト仲間の誰かに状況を話したらしい。
そのことで、バイト先に無言電話の件が広まった。
そうしたことを、私は、さっき聞いたばかりだった。

考えてみれば、すぐにわかるもんだ。
あそこはサークル化した仲良し村同然。
ミサコちゃんが黙ってるワケが無い。
口止めしなかったけど、しょうがない。
にしても、この女、自業自得だと思わないものなんだろうか?

声がだんだん泣き声を含んできた。
泣きたいのはこっちなんだけど。
あ~もう、どうしようかな。
切っちゃおうかな。
私はため息をついた。

だけど、切ったら、あっちと同じレベルになる。
それは絶対にやりたくない。
けどなぁ。。

声を出すか、私は迷った。
が、弁解することにした。

「言いふらして無いよ。
知らない人から無言電話が来てるって友達に相談したら友達が調べてくれただけ。
けど、こういうの良く無いと思う。
何時だと思ってる?
そっちは学生だからいつでも何してもイイと思ってるかもしれないけど。
それとも、ワザとそこを狙って電話してんの?」

「あ。。ゴメンなさい。。私、、そんなつもりじゃなくて。。
昼間は、いろいろあって気が紛れてるけど、夜になると、いろいろ考えちゃって眠れなくなって。。
言えば、わかってもらえるんじゃないかって。
ホントに、ホントに、赤木くんのこと好きだから別れて欲しいんです。
ホントに、お願いです。。」

とんでもなく、自分勝手な言い分だ。
けど、そこが、頭が悪そうな感じで可愛いと思わせるのかもしれない。
甘ったるい声に切り替えて、必死で頼み込む。
仲良しの友達なら、
そういうふうに考えがグルグルして眠れない時ってあるよね~わかるよ~
なんて、つい言っちゃうところだ。

「別れないよ。」

私はハッキリ、強い口調で言った。
意地悪な怖い女だと思ってくれ。

「シンヤが別れたいって言うまで私からは絶対別れないから。
もう、こういうことしないで。
私も、好きだから、絶対無理だから。
シンヤのこと好きな子がこういうことするの、何だか同じ人を好きになった立場として、すっごい嫌。」

私は「すっごい」に力を込めた。

「・・・何。。サキどうした?」
起きてしまったシンちゃんが、心配した顔で私に声をかけた。

声出した時点で起こすかもしれないと思ってたけど、
ゴメン!もうアンタのせいなんだからね。
しょうがない。

電話替わって、って態度が言っている。
でも、私は渡さなかった。
コレは女同士の戦いだから。

それに彼女は泣いている。
もしかしたら、めちゃめちゃ純粋ちゃんなのかもしれない。
シンヤもそう思ったら嫌だ。
今度はシンヤがてこずる番になる。

けど、私はオンナだから、それに同情するほど、良い人でも無い。
あっちはあっちなりに戦ってることがわかったから、正々堂々と受けて立ってやる。
、、、って、こっちも眠さの中、起こされてキレてるのかも。

しくしく泣いている声に、私はずっと付き合った。
シンヤも私の様子を見て、無言で付き合った。
いつでも電話を渡せと態度が言っている。

泣くこと数分。
落ち着いたのか、彼女の声がした。

「、、、ゴメンなさい。
赤木くんの彼女がこういう人だってわかって良かった。
彼女がいるからって断られたから、いなければ付き合ってもらえるんじゃないかって、、、
私、勘違いしてた。。
ゴメンなさい。本当にゴメンなさい。。
もっと早く、ちゃんと話せば良かったです。。」

その可愛らしい声に、私はクラっと来た。
最初の恨むような声とは天と地ほどの差だ。
コレは、断るにもかなり困っただろう。
私が男なら、こんなふうに泣かれたら困る。
心配した顔で私を見ているシンヤを見て、私もつい困った顔になった。

「いいよ。。
こっちこそ、もしかしたら思いつめさせちゃったみたいだったから。
友達には、ちゃんとアナタが悪い子じゃなかったこと伝えるから、安心して寝て。ね?」

「はい。。。
本当に、本当にゴメンなさい。。」

電話が切れた。
コレでわかってくれればイイんだけど。。
私はシンヤが泊まってくれていたことに感謝した。
お蔭で、ちょっと優しくなれた気がする。
けど、こうした「イイ人」「イイオンナ」みたいな自分を演じた気がして、
自分に嫌気がさしたことも確かだ。

「何で渡さないんだよ。。」
シンヤは私にティッシュを渡してきた。

「女同士の戦いだから」
私はそのティッシュを受け取って、涙を拭いて、鼻をかんだ。

「シンちゃんがいてくれて良かったよ。
一人でこんな時間に電話とってたら、凄いブチ切れてたか、
めちゃめちゃ怖かったか、
どちらかだったと思う。」
私は笑顔を作って言った。
あんなことにビビってたまるか。
なのに、体は正直で、手は震えてたし、涙も出ていた。

「戦わなくていいよ。。」
シンちゃんは、私を抱き寄せた。
「戦う必要無いし。」

私は何も言えなくなって頷いた。

「さっきも言ったけど、、、
俺はそんなに頼りにならない?
そんな気がして、ずっと悔しいんだけど。」

私は首を横に振った。
今更ながら、涙があふれて止まらない。

シンヤが今日泊まったのは偶然でも何でも無い。
バイト先で起こったことを人づてに聞いてきたらしく、
心配と腹立たしさとでいっぱいだったらしく、
叱られて、仲直りした夜だった。
仕事のシフトも明日は休みで、幸せな気持ちだったから、
だからあんなに余裕があって、話せたんだと思う。

「サキは、天邪鬼だし、一人で何でもやろうとするから、
何か心配になる。
一人でいろいろ背負うなよ。。」

「それが私だから、、、しょうが無いじゃない?」

私が泣くのをやめようとして言うと、
シンちゃんが呆れたように笑って、私の頭をポンポンと撫でる。
私はうつむいて、シンちゃんに抱き寄せられたままでいた。


ずっとそんなふうにして、
一緒にいられるものだと思っていた。

シンちゃんの言う通りにして甘えてれば、
今、私の横にはシンちゃんがいたのかな?


続く

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最終更新日  2016年12月16日 20時41分17秒
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