|
テーマ:映画レビュー(890)
カテゴリ:映画-あ・か行
-2006年作品-
[監督] 宮崎 吾朗 [出演] (ゲド/ハイタカ)菅原 文太、(アレン)岡田 准一、 (テナー)風吹 ジュン、(テルー)手嶌 葵 ▲似顔絵はゲド/ハイタカ。 ---------- 自分は原作の1巻から4巻までを読んでいた。 それというのも、宮崎駿監督が影響を受けた小説、と聞いたからだ。 その「ゲド戦記」がジブリで映画化されると知った。 宮崎駿監督念願の映画化か、と思っていたら、監督は息子の吾郎氏(しかもアニメーションは素人)とのこと。 おもわず、ガクーとなってしまった。 HPを見てみると、そこにはゲド戦記の絵が。 竜とその前に立つ少年。 あれ~、凄くイイじゃん、と素直におもってしまった。 (現在、PCの壁紙にしております。) しかしキャラクターを見ると、なんとなくゲドのイメージが違うような気が。 またまたガクーとなってしまった。 後日TVCMを見ると、ゲドとアレンが座っているシーンが放送されていた。 ゲドの横顔にやさしい風がふいているようで、髪が少しゆれている。 あれ~、なんかイイじゃん、とおもってしまった。 そして映画が公開されると、多くの酷評の記事を見る。 失望と期待がなんども繰り返す中、ドキドキしながら劇場へ足を運んでみる・・・。 【テナーとテルー】 映画の中で良かったシーンを二つ。 一つは荒らされた畑を直しながら、テナーとアレンが話しをする所とそれに続くシーン。 空を見上げながら、昔ゲドに救われたと話すテナーのアップ。 そしてその向こうに広がる空の青色。 すると画面は真っ白になり、歩くゲドの姿だけがゆっくりと浮かび上がり、続いて背景が浮かぶ。 過去のゲドとの思い出を話すテナーのその話し方は、大切な思い出をいとおしむかのようにとてもやさしく話す。 そして浮かび上がるゲドの姿のタイミングが、ドンピシャという感じで(まるで思い出から出てくるようで)このシーンのつなぎは実に良かったと思う。 もう一つは、なんといってもテルーが草原で歌を歌うシーン。 ひとり草原に立つテルー。 その立ち方はしっかりと、そしてはるか遠くを見るように歌を歌う。 歌声はテルー自身の心に語るように。 聞いていたアレンの心に語るように。 いや~、まいりました。 まず手塚葵さんの歌声が素晴らしすぎる。 本当に心にやさしく届き、そして染み入ってくるようだった。 アカペラだったのだが、途中に風が草をゆらす音が入ったときには、ちょっとゾクゾクッとしてしまいました。 そして歌っている途中の、握り締める手のアップ。 これもテルーの気持ちを十分表していると思った。 それにしてもこのシーンをじっくり撮っている所に、宮崎吾郎監督の気合を感じた。 ***** たしかにこの映画は傑作だ!という映画ではない。 酷評する人達がいるのも十分わかる。 前半をじっくり描いた分だけ後半は詰め込みすぎだったし、未消化の部分もいっぱいあったと思う。 絵だけをみても「ハウル」などに比べると、ずいぶん劣る気がする。 でも宮崎吾郎監督やスタッフの、この映画に対する愛情や情熱はすごく強く感じられた。 制作者の思いがこんなに伝わる映画も最近はなかったような気がして、自分にはとても好ましく感じた。 この映画、ヒットはしているようなので、宮崎吾郎監督の次回作も作られる可能性は十分あると思う。 宮崎吾郎監督にとっては、その作品こそが本当の勝負作になるだろう。 (お願いだ~、スタジオ・ジブリ~! 日本ファンタジー小説の傑作、荻原規子さんの勾玉シリーズをアニメ化してくれ~!!) +++++++++ 手嶌葵/ゲド戦記歌集 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[映画-あ・か行] カテゴリの最新記事
|