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テーマ:映画レビュー(890)
カテゴリ:映画-あ・か行
-1965年作品-
[監督] 黒澤明 [出演](新出去定)三船敏郎 (保本登)加山雄三 ▲似顔絵はおとよ役の二木てるみさん ---------- 先日、インフルエンザにかかってしまいました。 現在無事復帰をしましたが、3日程会社を休んでしまいました。 というわけではありませんが、今回は医療を扱った『赤ひげ』について書いてみたいとおもいます。 この作品は黒澤監督の最後の白黒作品であると共に、三船敏郎さんとコンビを組んだ最後の作品として有名です。 江戸時代、貧しい人々を治療するために造られた小石川養生所が舞台。 この映画の主人公は、腕はあるが無骨で皆から赤ひげと呼ばれている、所長の新出去定(三船敏郎)です。 けれど各場面ごとに、その部分の主人公ともいうべき、慎ましい町の人々が登場します。 そしてもう一人の主人ともいえる見習医師の保本(加山雄三)が、赤ひげや町の人々と接することで精神的に成長していく姿を追いながら、物語が進んでいきます。 【子供】 先に書きましたがこの映画には各場面ごとに、その部分の主人公ともいえる人物が登場します。 それは老人だったり、大工だったり、。 その中で一番良かったのが、後半の少女おとよ(二木てるみ)の話でした。 特におとよがたくさんの布団を干している場所で、小僧の長次(頭師佳孝)と会話をするシーンは本当に涙ものでした。 母親が死に花街で育てられ、誰にも心を開かない少女おとよ。 小石川療養所に引き取られ、保本だけには少しずつ心を開くが、他の人には閉ざしたまま。 そんなおとよがある日、療養所に食べ物を盗みに入った小僧の長次を見つけるが、見て見ぬフリをする。 数日後、おとよは長次に呼び出される。 長次は先日見逃してくれたお礼にと飴を差し出す。 けれどその飴も盗んだ物だと見抜いたおとよは、長次に盗みはいけないと諭す。 影から二人の会話を聞いていた、保本と養生所のおばちゃん。 保本は首をうなだれ、おばちゃんは声を押し殺し泣き崩れる。 もうこのシーンはキキましたネ~、ほんと。 マジで泣けちゃいましたよ。 簡単なあらすじを書きましたが、もちろんそんなものでこのシーンの良さは全く伝えきれません。 おとよと長次の本当になんでもない会話。 でもその一言一言に、子供達の純粋さを感じました。 どんなにかたくなな態度や、生意気な言葉を言っていても、それらは彼らなりの生きていくため方法。 その中にあるピュアな心、曲がりはしない真っ直ぐな心、それらがとても強く伝わってきました。 そしてそれまで中々心を開かないおとよに対し、かわいげがないといって嫌っていた養生所のおばちゃん。 そのおばちゃんが泣き崩れる姿を見てて、おもわず自分まで泣き崩れるかと思っちゃいましたヨ。 子供達の本当の心に、気づいてやれない大人の情けなさ。 そして子供達なりに必死に生きていこうとする姿に対して、自分を含めて大人ってつくづく無力だなと感じました。 ***** 先のシーンで聞いた話。 小僧の長次役の頭師佳孝さん、リハーサルでは何度やっても、長いセリフを間違えていたそうです。 それが本番になると一発OK。 おもわず黒澤監督は頭師さんを抱きしめ、保本登役の加山雄三さんもひどく感心したそうです。 +++++++++ 黒澤明DVDコレクション::赤ひげ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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