|
カテゴリ:映画-あ・か行
蒲田行進曲 完結篇
-1995年上演- [作・演出]つかこうへい [出演](倉丘銀銀四郎)山崎銀之丞 (小夏)平栗あつみ (ヤス)吉田学 (瑠璃子)山崎絵莉 ▲似顔絵は倉丘銀銀四郎役の山崎銀之丞さん ---------- 今回は『銀ちゃんが逝く』、あの『蒲田行進曲』の続編のお芝居について書いています。 自分はこのお芝居を観る前に、映画『蒲田行進曲』は観てました。 その時はどちらかと言うと、銀ちゃんよりヤスの方に気持ちが行っていました。 (やっぱりヤスのあのひたむきな姿にはググッときてしまいましたから...) しかしこの『銀ちゃんが逝く』を観て、いっぺんに銀ちゃんの方が好きになりました。 銀ちゃんはまさしく、つかこうへいさんのお芝居そのものだとおもいました。 激しく笑い、深く悲しみ、いつも感情のメーターの針がトップを越えてて、中間がないんです。 その感情の振り幅がとても広くて、こちらの感情まで激しく揺さぶってきます。 太陽のようにメチャメチャ明るく、けれど深い悲しみを持っている銀ちゃん。 人を愛すれば愛するほど、同じぐらい傷つけてしまい、そして自分をも傷つけてしまう銀ちゃん。 そんな銀ちゃんが大好きになりました。 そしてこのお芝居で銀ちゃんを演じた山崎銀之丞さん、もう本当に最高でした。 山崎銀之丞さんは、まさしく“銀ちゃん”その人でした。 銀ちゃんカッコいーーー!!! 【父親】 このお芝居には4人の父親が出てきます。 一人は銀ちゃんの子を身ごもった小夏(平栗あつみ)と結婚し、その子瑠璃子(山崎絵莉)の父親となってしまったヤス(吉田学)。 一人は関係を持った旅館の女中から、子供を押し付けられ育てている若山馬之助(山本亨)。 もう一人は子供をつくれない体になり、女房を他の男性と関係を持たせて父親となった中村屋喜三郎(春田純一)。 そして瑠璃子の本当の父親、銀ちゃん。 (結局本当の父親は銀ちゃんだけなのです) お芝居の最後にはそれぞれの見せ場があり、それぞれの熱い想いがジンジンと伝わってきました。 その中でもラストの銀ちゃん見せ場では、こちらの感情のフタが一気にぶっ飛んでしまい、涙涙の垂れ流し状態でした。 五稜郭の石階段を落ちるという撮影に挑む銀ちゃん。 しかし撮影前にヤスに刺されてしまう。 不治の病におかされて死んでしまった瑠璃子をおもい、銀ちゃんは自分の腹を刀で何度も何度も刺す。 まるで自分が死ねば瑠璃子が生き返るかのように、何度も何度も刺す。 そして五稜郭の石階段を落ちていく。 この場面ではもう涙がダラダラ流れてしまったのですが、気持ちが芝居に入り込み、全く拭く気にもならなかったです。 瑠璃子への想いを語る銀ちゃん。 そして「この子に幸多かれと!この子に幸多かれと!」と言いながら、自分の腹を刺す所は、まるで瑠璃子が死んだ心の痛みをかき消すかのように、何度も何度も刺していました。 その心の痛みと体の痛みが、ビンビンにこちらの心を貫くようで、滂沱の涙となったのです。 ***** 正直つかこうへいさんの芝居全体を観てて、物語に破綻がないとか、作品としての完成度が高いとか、そんな感じはあまりしないのです。 でもちょっとぐらいムチャクチャでも、理屈やテクニックではなく、剥き出しの感情そのものがドーン響いてくる、そんなお芝居だとおもいました。 ▲パンフとチラシ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[映画-あ・か行] カテゴリの最新記事
|