やっぱり本が好き♪

１０人の女性により語られるニシノユキヒコの物語。１０編の連作として作られていて、登場するそれぞれの女性は違う次期であったり、時々交差していたりとても不思議な感じが漂います。

真剣に愛を求めていながら深く愛することのできないニシノユキヒコ。それがわかるからこそ愛し続けることのできない女性達。嫉妬や憎悪のようなものが吹き荒れそうな話ですが、ゆったりとした川上さん独特の流れの中で淡々と告白されているような物語でした。

中学生のニシノユキヒコ、大学生のニシノユキヒコ、社会人になったニシノユキヒコ、五十代となったニシノユキヒコ、死してなお現れるニシノユキヒコ…
しかしいつでも、いつまでも変わらない子供のようなニシノユキヒコなんですよね。

こんな関係はやっぱりイヤだよなと思いつつも、読み終える頃にはそんな彼にほんわかしたものを感じてしまっているんですよね。
とても不思議な、子供のような大人のような恋の物語でした。