カテゴリ:♪本の覚え書き♪
一人暮らしを始め、持っていた本を古本屋へと売り払った私。卒業旅行で訪れた異国の古本屋で偶然その本とめぐりあうこととなった……。 『旅する本』 タイの小さな島でマラリアにかかり寝ているだけの私は、旅行者が置いていった本が並べられている本棚に数冊の日本語の本を見つける……。『だれか』 彼とけんかして一人で訪れることになってしまった旅館。ふと引き出しを開けてみると詩集が…、しかも中には誰かにあてて書かれた手紙がはさまれていた。……『手紙』 こんな偶然てあるんだろうか?いやあるはずがない。とこの物語に少々違和感を感じて読み始めたのに、ここまで読んできてふと「あるかもしれないなぁ」と思い始めていることに気づきました。 誰かの書いた文章を読んで、その文体で自分もものを考えている主人公。私も結構影響受けやすいたちなのでこれってよくあるんですよね。私の人生の中でも恐ろしいくらいに続く偶然という経験もあるし、本にだっていろいろな人生(本生?)があっても不思議ではないな、とおもしろくなってきてしまうのでした。 一緒に住んでいた彼と別れることになり天井まで届く本棚の前で自分の本と彼の本をより分ける……『彼と私の本棚』 「部屋の中に不幸の種がある」と言われ、別れた彼にその1冊の本を返そうとする……『不幸の種』 自分を呼んでいるかのように目にとまる本とか、何気なく手に取った本とか、出先だったり行きつけの本屋だったり…。この出会いがたまらないんですよね。 そしてこの中でよく語られているのが、自分がいろいろな経験をして年を重ねたことにより読んだ本の印象や考え方が変わる…ということ。そうなんだろうなぁ、何が言いたいのかまったくわからなかった本も今手にしてみればうなずけることもあるし、中学時代に手にした横溝正史の本も今読んだ方がもっと味わいがあった。 昔おもしろくないと思った本をリストアップしてまた読んでみたり、今読んでいて難解だった本や、私には合わないかなと思った本を何年か先に読んでみようかしら?なんて気にもさせられちゃいます。 「すさんだ生活」をしていた私はあるとき『伝説の古本』の話を聞く……『引き出しの奥』 文芸雑誌の新人賞に受賞したぼくは「本が出たら一番に誰に伝えたいですか」という質問に「ミツザワ書店のおばあさんに」とは言えず「親に」と無難に答えた。ミツザワ書店は子供の頃のぼくにとって世界への扉だった……「ミツザワ書店」 おばあちゃんの欲しいといった本を探し、私は今日も本屋をめぐる。……「さがしもの」 人に本を贈るのはむずかしい。とくに、好きな人には。……「初バレンタイン」 以上の9つの短編集です。 『ミツザワ書店』と『さがしもの』は「あ~この本を読んでよかった」と心から思いました。とても心温まるものだしストーリーももちろん良いです。 マツザワ書店のおばあさんのように語れる人生もいいなぁ。さがしものの彼女のような仕事もいいなぁ。と思ってしまうくらい。 しかしそれ以上にいろいろな人がそれぞれに本というものに抱くさまざまな思いを改めて考えてみたりするよいきっかけをもらったような気がしたのです。 これから私はどういう本の探し方をしようか、私の時間には限りがあるわけだから手当たり次第には読んでいられないよなぁ。でも最後まで読んでみないとわからない本ばかりだし…。まぁ今までどおりいろいろな人の意見なども聞きつつ自分の読みたいと思う本を探す。そしてときには偶然の出会いを楽しむ…。なんだ今までどおりじゃん(笑)。 角田さん自身の本とのつきあいを振り返る書下ろしあとがきエッセイ「交際履歴」で『…百人いれば、百個の個性があり、百通りの顔がある。つまらない人なんかいない。残念ながら相性の合わない人はいるし、外見の好みもあるが、それは相手が解決すべき問題ではなくて、こちら側の抱えるべき問題だ。…』と語っています。 人にも本にもすべてにあてはまるよなぁ(苦笑)。でも人が一生懸命書いた本をこういうブログで適当に非難するなよと言われている気もする私でした(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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