カテゴリ:♪本の覚え書き♪
夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗。神を信じ得ぬ牧師、白丘。夢と現実の縺れに悩む三人の前に怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏、山中での集団自決。遊民・伊佐間、文士・関口、刑事・木場らも見守るなか、京極堂は憑物を落とせるのか?シリーズ第三弾。 京極夏彦さんの本だけは分厚いし内容も濃くって購入しています。 しかし、自分の物にしてしまうと興味が薄れるわけではないのですが、買ってしまうとそれだけで「いつでも読める~♪」と安心してしまうというわるいクセ(笑)。 じつはこの本昨年から読み出していた物なんです つい期限の迫る図書館の本を優先してしまいこの始末… おまけに分厚い(笑) 私の中の何が共鳴するのか、どんなに間を置いて読んでも頁を開けば一瞬にして京極堂の世界に入れてしまうんですねぇ~。だからいつでも読めるという気によけいになってしまうのでしょうか。 ホントはいつも京極堂に会いたい、なのに登場するのは物語が佳境に入ってから。 やっと出てきたと思うと小難しいことをベラベラとまくし立てる。そしてあれよあれよという間に解決へと導き、気づけば読み終えてしまい「あ~、今度はまたいつ会えるの?」とさみしさばかりがつのる。。。 完全にとりこです(笑)。 この作品は最後の最後で語る京極の内容が難しすぎ~!とお手上げな説明もあったのですが、やっぱり読まずにいられないのはなぜなのでしょうか。 そんな今回は今までになく榎木津が語りまくっていました。 「そんなもの解る訳ないさ。救われないのは、救われたくないからに決まっている。だって信じるものは救われると云うじゃないか」 「いい加減にしろ。さっきから聞いていればうじうじと!すむ世界が違うって云ったってここは地球で、しかも日本じゃないか。バカなことを云うな」 めずらしく榎木津がべらべらと怒りまくり、このあともなんのかんのとまくしたてるのですが、小気味良いというかとんでもないというか彼のキャラクターをいいことに作者は言いたい放題しています。 神をも恐れぬ榎木津に、豪快にどこかおかしささえ響かせて云われたおかげか私にはとってもずっしりきてしまいました。 そして影のうすい関口のこともちゃんとわかっているんだと気づかせる言葉もここで出てくるし、ちょっと彼を見直してしまいました(笑)。 そうか、私が京極堂に早く出てきて欲しいのは笑が欲しいから、仲間とのどこかニヤリとしてしまうような会話が聞きたいからなんだ。と今気づきました。 暗く物語が始まりおどろおどろしい展開をはじめ、登場人物すべてがそれぞれの解釈と不安を募らせてあちらこちらで渦を巻きだす。おかげで読んでる私の心も頭もぐ~るぐる。そして登場人物の数だけ不安をため込みにため込む。 そこへちょこっと現れた京極堂がすべてお見通し、なにを恐がることがあるものかと言わんばかりの口調で仲間達を指図し始め、やがて拝みやのいでたちで現れすべてを説明してゆく。 「この世に不思議なことなどなにもないのだよ」 そう言って私の不安をすべて拭い去ってくれるときを待ち続けて読んでいるからなのかぁ。 物語の主人公に救いを求めて読み続けてしまう… まさに作者の思う壺。。。京極夏彦おそるべし・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[♪本の覚え書き♪] カテゴリの最新記事
|
|