引き寄せられた女
今日は半日仕事。終わる時間がはっきりしない業務なので、ベイベ達は土曜保育。さぁ、久しぶりに大人のランチタイムが楽しめる。仕事が終わって、T子(20年来の友人)に電話するが出ず、もちろんメールの反応もなし。ま、約束していたわけじゃないから、仕方がない。で、Tちゃんに電話。が、たった今、昼食を自宅で食べ終わったところだという。うぅ…保育園には、昼寝タイムが終わった頃迎えに行くつもりだけれど、あまり遠出もできない。減給の身としては、あまり無駄なガソリンも使いたくない。ま、いい。ひとり新蕎麦といこう。ひとりで行く蕎麦屋なら、やっぱり平蔵。2人掛けの席にたたずみ、サライの奈良特集をチラ見しながら、新蕎麦を堪能。しばらくして、背後に、長身のヌボォ…ッとした女がひとり店内に入ってくる。T子だ。わたしには、気付かない。手を振ると、一瞬、誰でしょう?の表情を見せ、あぁとばかり歩み寄る。「知らないおじぃさんに手を振られたと思った」ひどい。頭頂部でダンゴを結った爺ぃが、そのへんにいるものか?ボヘミアン柄のコートを着た爺ぃが、そのへんにいるものか?わたしの蕎麦を食らう姿が、やばかったのか?背中に付いた肉による丸い背中?まぁいい。彼女も、半日仕事だったらしい。携帯を自宅に忘れたといい、この蕎麦屋での出会いは、まったくの偶然。平蔵は彼女の家の近所ということもあり、ひとり蕎麦を楽しむ店ではある。だがこの日、彼女はモスバーガーを目指しドライブをしていたようなのだが、うっかり、ラビリンスな住宅街に迷い込み、めんどうくさくなったので、平蔵に向ったのだという。「なんだか、引き寄せられたみたい…。こわい…。」それはないでしょう。ともあれ、退屈なランチタイムから抜け出せて、プチハッピーであったのは確か。四十路手前の女達の蕎麦屋での話題…伊勢神宮、熊野古道、お参りの作法、奈良の楽しみ方、高齢者医療…ちょっと渋すぎた。