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カテゴリ:健康
プリオンの怖ろしさは体内に正常型がすでに存在していて、それが異常型によって変性されてしまう自己触媒型の感染を引き起こす事や、潜伏期間が長く、いつ、どのように感染したのかを特定する事が困難な事、そして何よりそれまでの病原菌やウィルスなどのように充分な加熱調理を行えば感染力を失ってしまうという事がない部分にあるといえます。
プリオンについては狂牛病がセンセーショナルな話題となった事もあり、急速に研究が進んで感染のメカニズムが解明され、解明したプルシナー博士は1997年にその功績によってノーベル医学生理学賞を受賞しており、比較的知られた存在となっています。それに対し他の自己触媒型の神経変性症についてはこれからの研究を待つ部分が多く、それだけに不安な面も多く残されているという事ができます。 これまでアルツハイマー病の原因とされるアミロイドタンパク質の異常型を外部から摂り込み、正常型のアミロイドタンパク質が自己触媒型変性を起こすという例は幾つかの研究によって確認されていました。 しかし、それらは極めて稀とされる遺伝型のアルツハイマー病発生因子を遺伝子操作で持たせたマウスに限った事で、遺伝的発生要因を持たない状態での変性については確認されていませんでした。それが先日の研究で正常な人型のアミロイドタンパク質を持つマウスに異常型のアミロイドタンパク質を移植する事で、自己触媒型の変性が起こり、異常なアミロイドβの沈着が確認された事から、アルツハイマー病に関しても感染する可能性がある事が示唆されてきました。 体内に入り込んだ異常型のアミロイドタンパク質がきっかけとなって、正常型のアミロイドタンパク質が自己触媒的反応を起こしてアルツハイマー病を発症させている可能性が浮上してきた事となりますが、そうなると感染経路の方が気になってきて、狂牛病のように人獣共通の感染症ではなく、人以外の動物では症状が発生せず、人に摂り込まれてはじめて感染が起こるのか、それとも病気の進行が遅過ぎて、人ほど長生きをしなければ症状が顕在化せず、短命な動物では発症する前に寿命を終えているのかといろんな事を考えてしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年03月18日 07時57分08秒
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