東北人と九州人では「上京すること」の価値観が全然違った件。
私が北九州市で生活してて思うのが、北九州市には大分県出身の人や山口県出身の人が多く生活していることです。「北九州市のとある高校」で勤務していた際、先輩の教職員の中には、鹿児島県出身の方や、熊本県出身の方、そして山口県下関市在住という方もいらっしゃいました。それに比べると東京都出身の私は「変わり者」と思われてもしょうがないでしょう。 さて、先日Twitter内容をまとめる掲示板を眺めていたら、東北の人と九州の人とでは「東京に出ること」の価値観が全然違う、という議題がありました。 投稿者Aさん 「青森出身の妻と熊本出身の自分とで「東京に出ること」の価値観が全く噛み合わなかったな」 どういうことでしょうか?東京出身の私はピンときません。 AさんのTweetを詳しく見ていくと、 「東京に出ること、大都市を指向すること、地元にいられなくなること、地元を捨てなければならないこと、そういう物事への価値観が南日本と北日本で全く違った。」 「熊本は政令市の南端として一定の地位を保ちながらも、仕事がそんなにあるわけではないので福岡・広島・岡山・大阪も移住の選択肢に含まれる。数多くの中からどこを選ぶかという問題であって……でも青森は違う。東京以外に選べず、東京に出ていけないならどうにもならない。らしい。実感はある。」 「もちろん途中に仙台もあるのだけれど、あそこはそこまで大きい街ではないので上澄みでなければ残留できない、小さくなった横浜のような街。そんなわけで青森県は閉塞感が熊本とぜんぜん違うらしい。」 比較論としては一理あるな、と私は思いました。 東北で大都市というと、宮城県仙台市しかありません。東北6県で人口が100万人以上の都市は仙台市だけです。人口数値は2022年10月1日現在の推計人口です。 1位:仙台市(約109万9,200人、宮城県) 2位:いわき市(約32万5,700人、福島県) 3位:郡山市(約32万4,000人、福島県) 仙台市が他の都市を大きく引き離しています。さすが「東北の首都」。 これに対し九州では、福岡市(約163万人)、北九州市(約92万人)、熊本市(約74万人)という3つの政令指定都市があります。他にも人口40万人前後の都市がいくつかあります(長崎市、大分市、宮崎市)。中規模の都市がコンスタントにバランスよく並んでいるという印象です。 九州に住む人間として東京を眺めた時、「よく考えると、東京には東北出身者が多いな」と思ったものです。若者が進学・就職で東北から上京するのは1960年代からずっと変わっていません。仙台市という大都会がありますが、仙台市は支店経済都市。仙台市に本社(本店)を置く全国規模の大企業は少ない(東北電力しか思いつかない)のが現状です。 他の地域の大都市からもかなり遠く離れています。仙台市からほど近い「人口50万人以上の都市」は札幌市、新潟市、宇都宮市しかありません。「自分の夢をかなえるチャンスがある」とすれば東京、横浜しか選択肢がないのかもしれません。 これに対して九州では、九州7県に本社(本店)を置く全国規模の大企業が多いです。 ・JR九州 ・西日本鉄道 ・九州電力 ・西部ガス ・サニックス(以上、福岡市) ・ナフコ ・TOTO ・安川電機 ・第一交通産業 ・ゼンリン ・スターフライヤー(以上、北九州市) ・久光製薬(佐賀県鳥栖市) ・ジャパネットたかた(長崎県佐世保市) おまけ ・ユニクロ(ファーストリテイリング)(山口市) ・長府製作所(山口県下関市) おまけに「九州の首都」福岡市は新幹線で東京まで行けます。東海道・山陽新幹線は「太平洋ベルト地帯」を走るので、広島、岡山、神戸、大阪、京都、名古屋、静岡、横浜、東京という全国有数の大都市へすぐに移動できます。 様々な選択肢の中から東京を選ぶ、というイメージだと思います。 これでは東北に住んでいる人が「地元に閉塞感を感じる」のも無理はないでしょう。実際、東北出身の人で東京に出てきた人の中には「自由が欲しかったからだったな。伝統的な価値観や人間関係のしがらみからの自由。趣味を追求する自由。とにかく自由がほしかった。仙台では足りなかった」とコメントする人もいました。 でも少なくとも、コロナ禍を経た今、私は九州で生活していて少しだけ幸せです。もし今、東京に戻ってきて新国立競技場を自分の目で見てみたら・・・想像したくもありません。私は新国立競技場よりもヤンマースタジアム長居を選びます。