カテゴリ:読書
『古代の朱』
著者 松田壽男 ちくま学芸文庫 2005年1月10日 朱は水銀を指す。水銀は古代から江戸期まで、金属精錬、鍍金、医薬、顔料、白粉などに幅広く利用されていた。 揮発して微量の成分しかとどめることがない水銀の痕跡を、自然科学者の知恵を借り判別、地名、神社名、祭神名を辿り、巧みな発想と徹底したフィールドワークで裏付けた。 空海はその事績から、土木建築に長けた山師(鉱山技師)でもあったのでは、と考えていた私には、松田氏の学説は極めて納得性が高い。 海運、舟運などを中心に様々な記録が残っていると思われる江戸時代の朱(水銀)の物流・交通が判明すると、朱が時勢に与えた影響が類推できるようになるのだろう。 同じく時勢に影響を与えたと思われるが後代に残らないものに、褐鉄鉱製の鉄と布がある。これらと陸上交通、水上交通が総合されると、日本の古代から近世史の実相が明らかになるのであろう。 目 次 古代の朱 はしがき 一 赤の世界 二 青丹よし 三 まがね吹く 四 丹薬と軽粉 五 日本のミイラ 六 水銀の女神 七 丹生氏の植民 ハ 水がね姫の変身 九 漢字から生まれた神 一○ 丹生高野大明神 一一 丹生と丹穂 一二 石鏡を考える 即身仏の秘密 学問と私 奈良の枕詞「青丹よし」が青や赤(丹)に彩られた建物が点在する様という説も、大いに納得できる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年03月26日 06時47分47秒
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