テーマ:地球温暖化防止(2)
カテゴリ:環境・自然災害
アンモニアは燃焼しても二酸化炭素を排出しない。 現在、設備とインフラを整えて発電の燃料として使われている石炭や天然ガスと置き換えることで、カーボンフリー燃料の決定版として期待が大きい次世代燃料となっている。 アンモニアは発熱量ベースで石炭やLNG より高く、原油と比較しても高い。 製造面でも太陽光などの再生可能エネルギーを用いて製造する試みが展開されている。 アンモニアを燃料として使用した例は意外と古く、第2次世界大戦中のベルギーでディーゼリンの不足から100 台のアンモニアバスが使われていたことが知られている。 また、1959 年~1968 年にかけて米国で開発された高高度極超音速実験機X-15はアンモニアを燃料として高度107 960m マッハ6.7 を記録している。10 万メートルm高度では気温が非常に低く 低温でも液体を保つアンモニアが燃料として適している判断したと考えられる。 水素の液化温度は常圧で-253℃であるのに比べ、アンモニアは常圧-33℃で液体となり、8.5 気圧下であれば常温で液体となり、直接燃料として取扱いがしやすいとされる。 カーボンフリーが重視される現代は、アンモニア直接燃焼としてガスタービン、レシプロエンジン、ボイラー、工業用炉及、アンモニアの固体酸化物燃料電池(SOFC)における直接利用などの試験研究が行われている。 電力会社は炭酸ガス排出量削減の決め手の一つとして重視しており、2017年7月に中国電力の石炭火力発電所においてアンモニアの混焼試験が行われ、実用化の見通しが得られたとしている。 供給インフラにおいても、アンモニアはその物理的性質がLPG とほぼ同じことから、LPG 船を用いても輸送することが 可能とされている。 2021年8月24日、経済産業省はCO2排出量削減策の一つとして、燃料アンモニアの導入事業に最大688億円を充てる方針を決めた。 2兆円基金から拠出 2021年8月24日 日本経済新聞 経済産業省は24日、脱炭素技術の開発を支援する2兆円の基金から燃料アンモニアの導入事業に最大688億円を充てる方針を決めた。水素を活用する製鉄事業は1935億円を配分する。 24日に開いた産業構造審議会(経産相の諮問機関)の会合で了承された。今後、事業を担う企業の公募を始める。 石炭火力発電所でのアンモニア混焼やガスタービンでの専焼技術の開発に456億円を振り向ける。2024年度をめどに実証試験に移行する。 水素製鉄は高炉での製鉄過程で出る二酸化炭素(CO2)を50%削減する技術の開発に1214億円を出す。25~26年ごろに小規模試験炉での技術確立をめざす。 ― 引用終り ― 様々な供給インフラの整備が必要となることの他、アンモニア燃料の性状に根差した課題がある。 アンモニア燃料の課題 ・他の炭化水素系気体燃料に比べて体積当たりの発熱量が小さい ・空気中燃焼速度が遅いため安定燃焼に技術を要する LPGとの混焼で発電に用いる場合 ・燃焼範囲が高濃度側にずれていることから,炭化水素系気体燃料との混焼に技術開発が必要 ・LNG焚きガスタービンの場合、燃料を高圧に圧縮する必要があるが、同じ圧力でアンモニアは液化してしまう可能性がある
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最終更新日
2021年10月01日 06時00分09秒
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