テーマ:世界経済(43)
カテゴリ:中国、台湾
不動産バブルの崩壊、外資の撤退、一帯一路にもとづく開発の失敗などで中国経済は失速している。 経済音痴とされる習国家主席にも理解できるほどの失速だ 2013年に就任した習近平政権は、経済発展を続けた胡錦涛政権(2002年から2012年)から、不動産投資の拡大で成長する中国経済の成長モデルを引き継いだ。 不動産開発は活況を続け、中国のGDPの約40%も占めるまでになった。一般の不動産会社も銀行からの低利の融資を受け、開発の原資に事欠かなかった。上昇を続ける不動産価格により、投資目的の不動産購入が増加し住宅価格も急騰、大多数の国民が購入可能な水準より住宅価格ははるかに高くなった。不動産投資で大儲けする富裕層も生まれ、富の格差は一層拡大した。 2019年、不動産バブルのコントロールの効かない崩壊を懸念、社会格差の拡大のおそれから「共同富裕」を理念に掲げた習近平政権は、不動産部門に対する強力な規制を展開した。 銀行の貸出利子率の引き上げ、「3つのレッドライン」により不動産産業に対する総量規制を実施した。この効果はすぐに現れ、不動産バブルは崩壊し不動産価格は暴落、不動産開発企業や地方融資平台の破綻が相次いだ。 不動産開発で得られる土地使用権の収入が激減したことで地方政府の財政収支が悪化し、地方政府の債務残高は1,100兆円となり、返済不能でデフォルトする政府も出る事態となった。 不動産部門に融資をしていた銀行は大量の不良債権を抱えて経営が悪化、他の産業への融資も困難になった。 不動産部門は中国のGDPの40%も占めるので、内需が縮小、不動産バブル崩壊による負の経済的波及効果は絶大だった。 恒大、碧桂園は決算公表できず 共同通信 2024年4月1日 18時16分 中国の不動産市況の低迷が続く中、業界大手の苦境が鮮明になっている。綱渡りの経営が続く中国恒大集団と碧桂園は2023年12月期決算をいずれも3月末の開示期限までに公表できず、信用不安が深刻化。決算発表した他の民間大手も業績悪化が目立った。 恒大に対しては、香港高等法院(高裁)が外貨建て債務を巡り24年1月に清算命令を出した。3月には子会社の財務書類に巨額の虚偽記載があったとして罰金を科されたことも発覚した。碧桂園も同月28日に決算発表の延期を表明し、香港証券取引所での株式売買停止が不可避となった。債権者が香港高裁に碧桂園の法的整理を申し立てるなど、難局が続いている。 ― 引用終わり ― 下記の記事のように、中国はハイテク分野で復権するとの説もあるがハイテク製品のサプライチェーンはグローバルに分散している。現在のように強権政治を続ければ、共産党員以外の優秀な頭脳は海外流出し、ソフト面での進化も今までのようにはいかなくなることだろう。 安心していると痛い目にあう日本。 あと数年の最悪期を経て、中国が最先端テクノロジーで世界を制す =高島康司 2024年3月23日 MONEY VOICE … (略) … 不況下の中国経済の背後で進む構造転換 こうした状況がいまの中国経済だ。不動産バブルの崩壊は市場の動きの結果、自然に起こったものではない。習近平政権が導入した総量規制(不動産部門に流れる資金の規制)による人為的な崩壊である。 このため、いまの不況は習近平不況と呼ばれている。そして日本のメディアでは、格差の少ない「共同富裕」の社会の実現を自らの功績にしたい習近平個人の野心が引き起こした状況だとして、中国を揶揄する報道がほとんどだ。 しかしこれは、現在中国が大規模な構造転換の過程にあり、この転換が終了すると中国は新たな成長の軌道に乗る可能性が高いことを示す事実も実は多い。 この メルマガ では第774回の記事で、「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」の報告書、「重要技術競争をリードするのは誰か」の衝撃の調査結果を紹介した。それによると、中国は、重要な最先端技術分野の大半において圧倒的に進んでおり、世界最先端の科学技術大国となるための基盤を構築している。 44の最先端分野のうちアメリカが首位なのは7分野だけで、それ以外の37分野では中国が首位だった。ちなみに、日本がリードしている分野はゼロである。特に10の分野では中国の科学技術が他国の追随を許さず、この分野の製品の供給は、すべて中国が独占していた。 これを支えているのが、中国政府の科学技術への支援方針である。昨年9月、習近平は初めて「新しい生産力」の構築という考えを提起した。「新生産力」という言葉は、科学技術のイノベーションを活用して新産業を創出し、国の経済発展を加速させるという中国の計画を指す。習近平は今年2月1日、「新生産力とは、伝統的な経済成長モードや生産性発展路線から解放され、ハイテク、高効率、高品質を特徴とし、新たな発展理念に沿った高度な生産性を意味する」と述べた。 ― 引用終わり ― BRICsとグローバルサウスの覇者、アフリカの星として中国は生き残ることはできるかもしれない。そのマーケットは欧米日を合わせた市場にはとうてい満たない。 インド、インドネシアは経済面で中国についていくことはないだろう。現在のような強権政治を継続すると、第三国経由の先進国への輸出も制約が強まり、中国は強い制約下での経済発展を強いられる。 焦点: 適切な処方箋と新エンジン不在 By Joe Cash 2024年4月2日 ロイター … (略) … ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は「中国はもうこれから二度と、昨年以上の成長はできない。成長率をさらに押し上げるための財政コストが非常に大きいからだ」と指摘。現在の中国の成長モデルは、持続可能ではなくなっていると付け加えた。 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は先週、中国は今一つの「岐路」に直面しており、質の高い成長という新時代に向けて自らを衣替えしなければならないと指摘した。 IMFが今年1月に公表した中国の今年の予想成長率は、政府支出の増加を理由に0.4ポイント上方修正の4.6%となったが、依然として昨年実績の5.2%よりは低い。 中国当局者が信奉するのは、習近平国家主席が昨年9月に提唱した「新質生産力」で、先端産業における技術革新に依拠して経済を発展させるという考えだ。 ただ、アナリストは中国が成長ペースを維持しつつ、同時に経済構造を変化させるのは不可能ではないかとみている。 ナティクシスのガルシア・エレロ氏は、中国は成長ペースがじりじりと切り下がっていく流れをほとんど止められておらず、今年序盤の好調さも新たな成長の芽吹きとは言えないと説明した上で「5.2%は(成長の)底ではなく、天井だ」と言い切った。 ― 引用終わり ― 2月23日、米・アデエモ財務副長官は、中国経済が現在直面している経済的な苦境が短期的に米国の経済成長を鈍化させる公算は小さいものの、中国の過剰生産能力が世界経済に及ぼす影響を懸念していると述べた。 3月29日、習国家主席は、米国ビジネス関係者らと会談の中で、米国企業が「一帯一路」や、中国国際輸入博覧会などのイベントに参加し、中国へ投資することを歓迎するとした。 4月2日、中国・習近平国家主席と米・ジョー・バイデン大統領が電話会談を実施した。中国時間の2日夜に、バイデン大統領の求めに応じて会談を行った。 習国家主席は、2023年11月の首脳会談以降、双方はコンセンサスを真摯に実行に移し、両国関係は安定に向かっていると評価した。同時に、マイナス要因も増加しており、注意が必要だとした。 その上で、中国と米国のような「2つの大国」は、交流ややり取りを途絶えさせてはならず、ましてや衝突や対立をしてはならないとした。その上で、安定的で健全かつ持続可能な道を前進し続けるべきだと強調した。 中国は虚勢を張っているが、中国経済を再び発展させるためには、経済・外交面でグローバルルールに復帰することが必須だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年04月22日 06時00分11秒
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