379. 『収入は、欲ではなく社会貢献度に比例する』
※この文章は、2003~2006年に大学生・若手社会人向けに配信されたメルマガ『内定への一言』のバックナンバーです。379. 『収入は、欲ではなく社会貢献度に比例する』それにしても、最近は福岡女子大学の英文科の皆さんから、揃って『金持ち父さん貧乏父さん』が面白かった、という声を聞きます。ベローチェや就活コースで学生さんにお会いすると、必ず誰かのカバンにはこの本が入っており、質問や感想を聞くようになりました。一応、「FUN大学」の必修科目の一冊なので、FUNの部員はみんな読んでいると思いますが、就活中に初めて読むと、「みんな、何を基準に仕事をやっているのか?」と思えてきますよね。物語風でとても読みやすく、経済、経営、商学部の方でなくてもスラスラ読める作品なので、基本を知るための好著として、よく紹介しています。そんな中、特にお金くんに興味を持った学生さんからは、「もっと勉強したいんですが、どんな本を読んだらいいですか」という質問を受けることもあります。そこで、今日は『マネー関連図書ベスト10』をご紹介します。あくまで僕の主観に基づいた分類ですが、今までFUNで学生さんに200冊ほど本を紹介してきて外れたケースはまずないので、きっと気に入ると思います。1位…『隷属への道』 (F.A.ハイエク/春秋社/1943/\3,000)「近現代史勉強会」の第一部に参加された方と一緒に読んだ本です。世の中のごまかしが鋭い洞察の元に分析され、経済思想や人間性の本質を章別に説明した本で、発刊と同時に13ヶ国語に翻訳されたのも分かります。この本で、日本が社会主義国だというのがよく分かりました。人間心理が手に取るように見えるようになり、虚飾や見栄との決別が図れた記念すべき作品です。2位…『人生と財産』 (本多静六/日本経営合理化協会/1950/\9,800★絶版)安田財閥創業者・安田善次郎や、日本資本主義の父・渋沢栄一の財務顧問を担当し、40歳で100億円の財産を築き上げ、明治神宮などの建設費用を寄付した伝説の大富豪・本多静六博士の処世訓のうち、代表的三部作をまとめた一冊です。これを読むのと読まないのでは、20代の収入は1,000万円以上違ってくるのではないでしょうか。数々の本で引用されながら、探しに探し回り、去年、偶然見つけた思い出の本です。3位…『論語と算盤』 (渋沢栄一/国書刊行会/1985/\1,600)僕の人生のバイブルとも呼ぶべき本で、創業の苦難の中、何度読み返したか分かりません。読むたびに姿勢を正されるような深い洞察を知り、これからも何度も読み返していきたいと思っている本です。マネー関連というより、経済観念と人間性の合一を説いた人生指南の書ですが、どのような立場で何をしている人にも、深い気付きと反省、生きる喜びを与えてくれる本でしょう。4位…『人生を変える80対20の法則』 (リチャード・コッチ/TBSブリタニカ/1997/\1,800)合理主義の権化のような本で、人生には「報われない努力」があることと、効率と効果は両立できることを、これでもかというほど実証した名作です。FUNでは何度も紹介しているので、お持ちの方も多いことでしょう。資産運用、投資、事業、勉強、生活、ありとあらゆる場面に当てはまる「パレートの法則」から、人間が陥る錯覚や本来求められる行動を説いており、就活生ならずとも一冊は持っておきたい、社長さんたちの人気図書です。5位…『フランクリン自伝』 (フランクリン/岩波文庫/\480)お金儲けにはアクロバットは必要なく、地道な努力と信用構築がどれだけ大事かを、しみじみと感じさせてくれる歴史的ロングセラーです。アメリカで発刊された本の中でも国民的ヒット作となった本で、彼の文章を手本に全アメリカ人が英語を学ぶほどの達意の名文は、日本語訳からも十分伝わってきます。いつか原典を買い、英語で読んでみたいものです。6位…『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 (ロバート・キヨサキ/筑摩書房/2001/\1,800)「収入の生み出し方」から働き方を4つに分類し、職業観や経済観念の違いを分かりやすく解き明かした本で、僕は「金持ち父さん貧乏父さん」よりもこっちの方が好きです。まだ3年生だった頃の大月さんに紹介し、「私は間違っていなかった」という感想を聞いたのが懐かしいです。就活で一息つき、改めて人生を考えたくなった時は、読んでみるとよいでしょう。7位…『ワーク・オブ・ネーションズ』 (ロバート・ライシュ/ダイヤモンド社/1993/\1,800)こちらは発想や行動の形式から3つの職業分類を行った本で、見せ掛けの働き方や仕事ではなく、心理的、会計的な部分で「儲かる働き方」や「成功する考え方」がどのようなものであるかを分かりやすく書いています。FUNで紹介したら福岡のブックオフから消えてしまい、現在古本屋では入手が困難なようですが、新刊でも売っているので、将来大きな事業をやりたい、自由と豊かさを両立させたい、と考えている方は読んでみてはどうでしょうか。8位…『ユダヤの商法』 (藤田田/KKベストセラーズ/1972/\690★絶版)毒舌ながら、資本主義の本質を爽快すぎるほどきっぱりと言い切った超ロングセラーです(なんと「300版」で絶版に)。FUNでは3年前から紹介し、サークルだけで20冊ほど買いまくり、福岡都市圏からは消え去った感がありますが、今でも時々見つけては買い占めています。輸入ビジネスで一儲けし、狙った顧客を次々と仕留めていく田さんの鋭い観察から、マクドナルドは「ハンバーガー屋」ではなく、「不動産業」だという事実がよく分かるでしょう。9位…『おカネの法則』 (大竹慎一/日本経営合理化協会/2000/\16,800)個人で1,000億円の資産を動かす日本人ファンドマネージャーの経営論です。貸借対照表と損益計算書を経営実務に照らし合わせて解説した本で、マネタリズムの視点に立って、景気の循環を壮大に論じています。欧米の金融機関を相手に張り合いながら、源平合戦から続く伝統思想や日本人独特の嫉妬などにも触れており、外国から見る「貧乏な日本人」の習慣や群集心理が客観的に把握でき、おすすめの一冊です。10位…『となりの億万長者』 (トマス・スタンリー/早川書房/1998/\1,800)本当の金持ちは質素に暮らして資産を買い、金持ちに憧れる貧乏人が洋服やブランド品を買いあさり、間違ったイメージや観念を撒き散らしていることがよく分かる力作です。「お金持ちとはどのような人か」というリサーチを入念に行い、多くの統計データが掲載されており、実感を持って習慣と考え方の大切さが理解できるでしょう。FUNでもよく紹介している本です。以上、10冊をご紹介しました。『金持ち父さん貧乏父さん』は入っていませんが、おそらく20位くらいにはなります。 あの中に「貧乏人は負債を買う。金持ちは資産を買う。中流の人は資産だと思って負債を買う」 とありますが、本当にそうだと思います。全部買えば数万円ですが、きちんと読んで実践すれば、安すぎるほどの投資です。探してみてなかったら、言ってもらえれば貸すので、部員の方や就活コースに参加している方は、遠慮なくどうぞ。若い頃は、ガラクタへの投資を抑え、徹底して知的設備投資を行うべきです。つまり、「本を読み、優れた人と会う時間を何より優先すべき」ということです。昔の学生は、食費を削っても、哲学や古典の本を買ったそうです。壮年期に大成し、立派な社会貢献を果たした富豪たちは、皆、このような経験を持っています。今は食費を削るほどの時代ではないかもしれませんが、当時の「食費」は享楽費だと考えれば、いくらか削ってでも知的資産をせっせと買い集め、少しずつ栄養に変えていきたいものです。内定後、皆さんと「儲かり、喜ばれる働き方」について語り合えるのを、今から楽しみにしています。