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テーマ:旧い旧い洋画(393)
カテゴリ:イタリア映画
1963年 イタリア 出演:クラウディア・カルディナーレ、ジョージ・チャキリス、マルク・ミシェル 《本日ネタバレです》 第2次世界大戦末期、イタリアでの戦争は既に終わり、農村の娘マーラの家へブーべという男性が訪ねてくる。彼はマーラの死んだ兄と共にパルチザンとして戦った仲間だった。何度か父親を訪ねて来るブーべとマーラはお互いに惹かれ恋をして、婚約する。 だがある日、ブーべはファシストの警官とその息子を殺してしまい追われる事となる。 仲間の助けを借りて国外へと逃亡したブーべ。マーラは彼を待つと決め、町に出て働き始める。そんな時出会ったのがステファノ。頑なにブーべを待つと言っていたマーラも誠実な彼に惹かれ始める。 そんな時、ブーべが捕まったという知らせが届く。 ビデオテープを整理していて出てきたこの作品。久しぶりに観てみた。 以前はよく教育テレビで世界名画劇場とかいって古い映画を放映していたが、それを録画したものだ。 この映画は明るいシーンがあまりない。大好き、という訳ではないのだけど妙に余韻の残る深い作品なので、「たまに観たくなる映画」の中の1本だ。 最初のシーンでブーべの逮捕後の事がわかってしまう。 14年の刑に服する事になったブーべのもとへ、2週に1度マーラは面会に行っているのだ。そこへ向かう汽車の中で過去の回想をする。 クラウディア・カルディナーレが美しい。昔の女優さんってみんな美しいが、ハリウッドの女優とはまた違い、イタリア女優はキュートだが美貌にも迫力があり妖艶で圧倒的なものを感じてしまう。そして足がきれい。昔ユーミンが雑誌などに、〈目指すはイタリアン・マダムの脚〉と言っていたが、なるほど考えてみればイタリア人マダムで脚の美しい人って多いのかもしれない。この映画のカルディナーレを観ながら改めてそう思った記憶がある。確かにユーミンもとても美脚だ。 ブーべのジョージ・チャキリス。既に『ウエスト・サイド・ストーリー』でスターになった後の作品だと思うが、ここではもちろんダンスはなし。追われる身の上となった事でマーラに自分の事は忘れて幸せを見つけるように突き放すような態度をとる。彼女の事が好きでたまらないのだが、そうせざるを得ない、愛の表現も下手でどうしようもないもどかしさを演じていた。 出会った頃の二人は大人のブーべに対して、わがままでどこかまだ子供っぽい振る舞いをするマーラだったが、彼の逮捕後には立場が逆転してしまうかのようだ。 14年間彼を待つ事にしたマーラ。冒頭のシーンはそう言う生活をはじめて7年目というところだが、彼女はなんと20歳から34歳までをブーべの為に刑務所に通う生活をするのだ。 「14年という月日も意外と早く過ぎそうだ」という言葉でラストシーンは終わるが、「私だったら無理」とか「ステファノの所へ行ってしまう」とこの映画を観るたび思う感想は今回もやはり変わらなかった。自分の事を考えてみても過ぎ去った14年は今思うとあっという間だったが、先の14年は、7年だってとても長い。 でも、昔は戦争に行った夫を戦後もずうっと待ち続けた妻の話しなんてざらにあったようだから、当時この作品を観た人達はマーラの事もそんなに特別な事ではないように受けとめていたのだろうか。 哀愁をおびたテーマ曲もモノクロの映像と共に忘れがたい名曲。タイトルロールの時流れる音楽もけだるくて、いかにもヨーロッパの古い映画らしくていい。 現在ではちょっとあり得ないメロドラマだが、昔は多かった待ち系作品の名画だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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