きょうのホテル層雲のお芝居の演目は、「桐の木」だった。一番前の場所取りに早めに会場へ行くと、ステージから録音テープを早送りする音が聴こえていたので、座長に挨拶しようと緞帳を少し捲ると、長男である大和勘太郎だった。昼の舞踊ショーでは、18歳になる勘太郎の女形の踊りを初めて鑑賞することができた。
平日にも関わらず今日の舞台会場は満席で、場内は観客の熱気に包まれていた。今回の「桐の木」の舞台構成は全員、劇団大和ファミリーで占められ、オリジナル色の強いものであった。そこには脇役の姿はなく、登場人物全てが主役であり、各々が輝いて見えた。座長のさり気ないユニークな台詞が緊張と緩和を生み出し、観る者全てに感動を与えた。クライマックスには思わず涙してしまう場面もあった。
後半の舞踊ショーでは、あややの七変化に勝るとも劣らない、城愛華の「夜叉のように」という舞台披露があった。そして、老婆に扮した若城八千代の演じる独壇場の「帰らんちゃよか」という一人芝居も見事であった。どうしてそこまで己をさらけ出して演技が出来るのか、不思議でならない。もしかしたら彼女は、千も万もの仮面を秘めているのかも知れないとさえ感じた。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう