人工呼吸器ケア人工呼吸器ケアモードの理解。 人工呼吸器には大まかに分けて、呼吸器に依存する強制換気と、自発呼吸を補助する換気の2つの役割があります。 ●持続的強制換気(CMV) 強制換気は主に2つに分けられられます。 従量式と従圧式です。 従量式(VCV)→換気量を決めて、換気量保持を優先の換気。 換気量が確保できるが、気道内圧が上昇しやすい。 従圧式(PCV)→気道内圧を決めて、その気道内圧の中で換気量を維持す る換気。気道内圧は制御できるが、換気量が確保できるとは 限らない。 圧補正従量式換気(PRVC)→圧をある程度抑えつつ、換気量を保持する換気。 以前は、従量式が主流でしたが、最近では高い圧をかけることが肺にとって悪影響というのが分かってきたため、従圧式を用いることが多くなっています。 強制換気はすべてに人工呼吸器による換気がなされるとありますが、最近の人工呼吸器では患者の呼吸をトリガー(感知)して同調することはできます。それをアシストコントロールと言います。今は、CMVといえば、すなわちA/Cを指します。患者が頻呼吸になると、それにすべて強制換気を送りこむことになり、過換気になってしまう欠点もあります。 ●強制換気と自発呼吸のミックス 同期式間欠強制換気(SIMV)→主流であるのが、SIMVと呼ばれる換気です。 これはCMVと同じく自発呼吸に同期させ、強制換気をしてさらに完全な自発呼吸もできるモードです。 今では、このSIMVがあれば、強制換気のモードはいらなくなりました。 SIMVで呼吸回数15回と、CMVで呼吸回数15回は同じことです。それでいて、SIMVは自発呼吸があっても合わせてくれます。VCVは自発呼吸だけの呼吸を許しません。 ですから、最初からSIMVでいいわけです。 SIMVの強制換気も従量式、従圧式を選択できるようになっています。 ●補助換気 プレッシャーサポート→補助だけのモードとしてプレッシャーサポートがあります。自発呼吸に対して、圧をかけて呼吸を楽にします。自発呼吸がはじまれば、補助を開始し、呼気に転じれば、補助は止まります。つまり、患者は吸いたい時に吸って、吐きたい時に吐けるのです。現場では、SIMVとプレッシャーサポートを組み合わせることがほとんど常識的になっています。(SIMVと併用のときは、自発呼吸だけのときにプレッシャーサポートはかかります。強制換気時にはもちろんかかりません)。サーボiなどではSIMV単独のモードはなく、プレッシャーサポートと組み合わせが標準になってます。 持続気道陽圧(CPAP)→換気ではありませんが、常に陽圧を保つモードしてCPAPがあります。 完全に自発呼吸であり、PEEPと酸素が流れている流れているだけです。 これもやはり、プレッシャーサポートを組み合わせることができるので併用していることが多いです。このモードに変えた場合は言うまでもなく、呼吸回数に注意し、spo2やバイタルの変動にも気をつける必要があります。 呼気終末陽圧(PEEP)→呼気をそのままにせずに、圧をかけることで、空気を少し肺胞に残しておきます。それによって肺胞がぺしゃんこにならないようにします。 全てのモードに組み合わせることができます。要はオプション的機能です。 便利な機能ではありますが、デメリットもあります。陽圧を保つために、心臓に戻る血液も抑えてしまう効果があるので、血圧の低下をきたすことがあります。逆に、PEEPを下げた場合は、その血液の戻りがよくなるので、心臓に負担がかかります。循環動態にも影響を与えることに注意してください。 とりあえず呼吸器のモードはこれだけ覚えておけばまず困らないと思います。 呼吸器も時代とともに扱い方が変わってきています。 今はとにかく、あまり圧をかけすぎないようにして、自発呼吸を極力いかしていくという方向に流れています。 昔だと、かなり深く鎮静剤をかけて、筋弛緩剤も投与して強制換気だけでやるような管理でした。 しかし、今は、自発呼吸温存できるモードが主流となってきました。SIMVですら、もう過去の物となってきています(まだ多く使われてはいますが・・・) APRV、BIPAP、PAVといった自発呼吸を活かした新しいモードがよく使われるようになってきています。 アラーム 人工呼吸器を扱うにあたって、モードの理解とともに重要なのがこのアラーム内容の理解です。これに対応できないことには呼吸器を見てはいけないでしょう。 ●気道内圧上昇 |