介護職員のケアと待遇改善が急がれるのに遅々として進まないことに何故と問いたくなる、
地方などの自治体が競って、 ホールなどの施設を建てていた時期がある、 人口2,000人あまりの村が、 田んぼに囲まれた白亜の殿堂を建てる、 地方出張の度に、 そんな光景が現れて、 日本は豊かなんだなあ、 と思った、 でも、 そんな箱ばかり立派に建てて、 維持できるんだろうか、 とやがて心配になった、 バブル景気でコンサートや、 イベントが華やかだった頃も、 繁華な街を持たない地域の箱は、 1年の大半で利用者がなく、 催しがある日でも、 800の座席のうち100も埋まらない、 という状態のところが多かった、 いつかどこかで現代アートのような、 斬新な設計の箱に興味を惹かれて覗いたら、 地元の人達がカラオケ大会をやっていて、 前方の座席に6,70人の観客がいて、 大いに盛り上がっていた、 小さな施設にしておけば、 それなりに利用価値が高まってよかったのに、 とつくづく思った、 バブルが弾け、 長い不況とデフレが訪れ、 過疎地域の箱は、 無用の長物に近くなった、 最近は建て替え時期も近づいて、 今ある箱物をどうするかで、 自治体は頭を悩ましている、 利用者ではなくて、 展示する絵画、彫刻などの、 コンテンツの少ない美術館も多い、 美術館を乱立させても、 展示に相応しい作品が、 そうそう見つかるわけではない、 ところで、 昨今は特別養護老人ホームなどの、 高齢者介護施設がぽんぽん建っている、 最近のそういう施設は、 設備がいい、 高級レジャーホテルと見紛うものもある、 新築まもないそういう施設で、 空室が多いらしい、 利用を希望する人がいても、 介護職員が少なくて介護が行き届かない、 それで利用者を受け入れることができない、 介護士の資格を取り採用された若い職員が、 次々に辞めていく、 入る人出る人で介護施設を流れているだけだから、 経験を積んだ職員が育ちにくい、 居着かない理由は判然としている、 大変きつい労働である、 入浴介護や、 下の世話もある、 見守りと言って利用者の行動を、 見て守る義務もある、 それで労働時間が長い、 もっともっと問題なのは、 それ程に奮闘しても、 家族を養うことができない、 働き盛りの年代の人でも、 社会保険料、所得税など、 もろもろのものが差っ引かれると、 手取りが15,6万円になってしまう、 ケースが少なくない、 これでは妻子がいては食っていけない、 疲労とストレスが高じて、 ウツを発症する人もいる、 ストレスのはけ口が利用者の虐待に向けられたら、 由々しき大事だろう、 介護職員のケアと、 その待遇改善は急務中の急務ではないか、 輝ける日本は外に見せるものではなく、 内政を充実して、 日の当たらないところに、 日を当ててこそのものではないか。