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医療、薬、経済社会、考えています。
カテゴリ:製薬、医療、つれづれ
一時期(または未だに)、途上国などの所得の低い国でのWindowsの海賊版や違法コピーが問題になりました。海賊版/違法コピーはもちろん映画、ゲームなどでも問題ではありますが、Windowsが問題になる背景には少し違ったものがあると考えます。
それはWindowsという1US企業が製造・販売しているPC用のOSが、社会的なインフラに近いものであるところにあると思っています。Linuxなど無償のOSやBrowserもあるので消費者にとって回避策もありますが、Windows以外はどれも普及率が低く、消費者側の利用スキル(PCスキル、何かあった時の回りからのサポートがないので自分自身で解消しなければならない、など)もWindowsよりは必要なので、同等の代替物はないと言えます。かつ、ゲームや映画であればそれがなくても我慢するだけで済みますが、Windowsを通したテクノロジーの経済的利益を得られる/得られない、という違いは生活水準に影響する点(「デジタルデバイド」を引 き起こす)で、社会的なインフラと言えると考えます。 インフラに近いものであり、多くの人が共通に使いたいのに公共財ではないため、その費用を出せる人にしか使えない、というコンフリクトがあります。そして対価費用を出せない/出したくない人は海賊版や違法コピーに手を出します。 マイクロソフト社は海賊版対策、普及率を高めるため、などの理由からWindows Vistaの中国での販売価格変更を実施しました。日本、USと比べてこの価格設定はダンピング(不当廉売)ではないか、と個人的には思いましたが中国国内でWindowsに対抗する製品がない、作ろうとしないのなら、消費にも有益な方法であるのかもしれません。事実、中国国内からこの価格設定変更に対する批判は大きなものになっていないようです(まだ高い、という声は強いらしいですが)。 道路や教育サービスなどのように「純」公共財ではないのに、公共財としての要素が強い財・サービスでは低所得の国において企業利益と社会的責任、ダンピングなどが常に問題になると思います。その最たるものが医薬品ではないでしょうか。 WindowsなどのS/W、映画などのDVDであれば違法コピーによる海賊版が出回る可能性があり、逆にその海賊版が社会的弱者の受皿になっているとも言えます。一方で、医薬品については同質の海賊版が存在しないか、または存在してもそれが消費者には判断できないところが、更に厳しい環境を作り出していると思います。 ジェネリックと呼ばれる特許切れをした安価な薬も、先進国では安くても、それでも途上国にとっては高価です。またジェネリックを製造するメーカーは逆に薄利多売で経営体力が少ないため、途上国支援などは新薬メーカーの方が出来ているくらいです。 新薬メーカーが今競って創薬しようとしている分野は癌やアルツハイマー、糖尿病などの高齢化社会が抱える疾患領域であり、途上国などの低寿命国では優先度としては低い疾患領域です。また世界の製薬会社の現在最も収益が高い製品群も高血圧や高脂血症などの生活習慣病。食べるものに困っている国ではさぞや頭にくる疾患です。一方、途上国で求められている感染症などの薬剤は逆に日本などでは使い過ぎによる薬剤耐性が問題になるのに。 Medical Devide 製薬という企業はそのような環境にあります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.08.20 22:37:55
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