|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
がらさ城城主・安土桃山は、すべて自分が一番でなければ我慢ならない男。ところがある日「最も美しいのは誰?」との問いに、預言者びるぜん婆々が示した人物は、跡継ぎである雨千代だった。憤慨した桃山は、実の息子である雨千代を快羅須山に棄てることを決意する。一方、桃山の罠から偶然にも逃れた雨千代は、訳あって唐の国から狸御殿に招かれている美姫・狸姫と出逢い恋に落ちるのだった。二人を待つ運命は…? 以前から気になっていた作品で、ようやくレンタルしてきました。 想定外の雰囲気に出だしから驚かされて、あっけに取られつつ観ていたら、意外にもそれが癖になるほど面白い! 映画ってこんな風にも作れて、楽しめるものなんですね。 中国の女優チャン・ツィイーを迎えて、どちらの言語で始まるのかと思いきや、狸姫チャン・ツィイーは中国語、その他の日本の役者陣は日本語で、普通に会話が進みます。 もちろん中国語には字幕つきで。 けれどその言語もかなり柔軟で、チャン・ツィイーが日本語を話すことも、逆のパターンもあります。 ‘煌びやか’という言葉がぴったりな室内セットの中で繰り広げられるオペレッタ。 日本古来の金屏風を思わせる背景や、着物の柄の美しさ、繊細な舞台セットの数々は、伝統美を遺憾なく発揮しています。 とにかく鮮やか艶やか。 ‘狸が人に恋をしてはなりませぬ。 まして人が狸を恋うるなど もってのほかの皮算用’ ゆるゆるなんだけど、それでも良い。 一見おバカに見えても、こだわりがいっぱいに詰まってることを感じます。 和洋折衷、さらに中国までプラスされているというのに、日本の伝統美が溢れているなんて... 監督のセンスと手腕なのでしょうね~すごい。 自分が一番でないと気のすまない安土桃山と、実の父に美しさを妬まれ追放された息子雨千代。 美しい雨千代が恋をしたのは、なんと狸姫だった... 叶うはずのない恋と、父の陰謀が織り交ぜられて、飽きることの無い2時間。 「雨千代と狸姫 美男美女」 「安土桃山(平幹二朗)歌も上手い!」 主演の二人の好演もはもちろんのこと、安土桃山を演じた平幹二朗、びるぜん婆々を演じた由紀さおりの舞台慣れした演技も見ものです。 大半が室内で舞台劇のように演出されているので、舞台慣れした役者さんはとっても映えますね~ 大部分を占める室内から一転、野外のシーンでは、開放感が倍味わえます。 日本の風景に欠かせない桜、砂浜と海、緑の草原... セットと野外を巧みに切り替えて見せるのも新鮮でした。 狸と人間の恋の物語。 所詮叶うはずの無い恋ですが、このお話の結末はご覧になってからのお楽しみ♪ ゆるゆる感にはまって、いまだ甘い歌が頭の中に流れています。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 鈴木清順 プロデューサー 小椋悟 片嶋一貴 脚本 浦沢義雄 撮影 前田米造 美術 安宅紀史 音楽 大島ミチル 白井良明 衣裳デザイン 伊藤佐智子 助監督 末永賢 出演 オダギリジョー 、チャン・ツィイー 、薬師丸ひろ子 高橋元太郎 、パパイヤ鈴木 、由紀さおり 、平幹二朗 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本映画] カテゴリの最新記事
|