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2007.01.03
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カテゴリ:日本映画
 

 売春禁止法成立の直前の特飲店・夢の里を舞台に、多彩な登場人物が織り成す人間絵巻。溝口監督の遺作。


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  女性を描いた作品が多い溝口監督。
次作を構想中に骨髄性白血病に倒れ、こちらが遺作となってしまいました。

それぞれの理由で遊郭で働く女性たちの人間模様を、売春禁止法成立に揺れる時代を背景にして描いた秀作。
赤線地帯とは、警察が立ち入るときに使った地図上に赤く引かれた線のこと。その地区を差すそうです。
ジェンダーについて考えさせられる今の時代では、受け止める側も痛い気持ちになりますが、努めて明るく振舞う半ば諦めた彼女たちの毎日を見ていると、同情ではない思いも湧いてきます。

結核の夫と幼子を抱え我身一つで生計を立てるハナエ(木暮実千代)、客を騙して金を溜め込むヤスミ(若尾文子)、田舎にいる息子を女手ひとつで育てるゆめ子(三益愛子)・・・
ミッキー(京マチ子)は不貞を働いてきた父親への反抗心から、迎えに来た父親を追い返してここに留まることを決めたのでした。

赤線地帯



擦れていようと惨めだろうと辛かろうと、生きるためにはどうしようもない…とにかく暮らしがかかっています。
それでも、一度身を固めると決めて夜逃げした仲間が、結局はこの仕事に戻ってきてしまうあたり、国が救いの手を差し伸べてくれるわけではない辛い時代背景を感じずにいれません。
そこで、彼女たちの雇い主が、ここぞとばかり、

「お前たちを救えるのは私だけだ。政治の手が行き届かないところを私が補っているのだ」

そう高々と述べるシーンは印象に残ります。
結局は物としてしか見ていないことが窺えるシーンでもありました。

彼女たちの意思でここにいる。
ここで働かねば生きていけないからここにいる。
でも、そればかりでもないことが分かってくると複雑・・・
客を騙し金を溜め込み、遂には殺されかけるヤスミとか、反抗心から留まるミッキーとか、自分の生き方としてしゃっきりと生きてる姿も印象に残りました。



本作の音楽では特徴ある電子音が使われています。
それがかなり不評らしく、いざ聴いてみると「!」という感じ。
どうしたかと思うくらい突然で、映画の雰囲気にも似合っていないのですが、これが懲りずに何度も投入されています。
もったいないといえばそうですが、作品自体がとてもよかったので、最終的に気にならなくはなりました。


知らぬ間に上京していた愛する一人息子から、
「もう会いません!汚い!」
そう言い放たれ、遂に発狂してしまう・ゆめ子。
演じた三益愛子さんの演技も素晴らしかったです。
この頃の銀幕女優たちの圧倒されるような存在感に酔うのも醍醐味なのかもしれませんね。
若尾文子、京マチ子の両者は今観てもとても美しいです。



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監督  溝口健二
製作  永田雅一
原作  芝木好子
脚本  成沢昌茂
音楽  黛敏郎
出演  京マチ子 、若尾文子 、木暮実千代
     三益愛子 、町田博子 、川上康子

 モノクロ(86分)







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Last updated  2007.08.29 11:47:10
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