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行きかふ人も又

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2007.04.22
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  細く長く生きる人もいれば、太く短く生きる人もいる。
開高健という作家さんは、後者に違いないと思います。
精力的に沢山のことをこなして、輝かしい功績をあげていた人が早死にすると、どうしてあの人が…?そう言われるが、そんな運命だからこそ精力的にやってきたとも考えられる。
これは河合隼雄さんの受け売りですが、すごくわかる気がするのです。

戦時中の青春時代、凄惨な時期を過ごしたにもかかわらず、自らベトナム戦争へジャーナリストとして赴き、奇跡的に生還した過去。
その経験をもとにして書かれた氏の闇シリーズは「輝ける闇」「夏の闇」、そして「花終る闇」で筆者の死をもって未完のまま結末を迎えます。
凄惨な時期を過ごしたにもかかわらず、ではなく、だからこそベトナムへ行かざるをえなかったのかもしれませんね。
ほとんどの人間は、忌々しい記憶から逃避すべくいたであろうに、さらにえぐらずにはいられなかった思いとは、いったいなんだったのでしょう。
わかるような気もして、わかりえない気もしています。
何かを変えようと使命感をもっていたわけではなく、自分のために死を覚悟していた。
ベトナムでの出来事が綴られる一作目「輝ける闇」は湿度と血の匂いがむんむんとするような凄まじい本でした。
帰国後の抜け殻となった主人公を書いた二作目「夏の闇」には、ただひたすら眠ることと情事を繰りかえす、気だるくも生への執着を感じるような生活を綴った作品でした。
そして最後となった「花終る闇」は、それらすべての集約ともいえる作品です。

男の世界であることは、間違いありません。
男と女を『同床異夢』と語るあたりからも、男と女は別の生き物だと感じていたのではないでしょうか。
より強調して使われる汚穢な言葉や猥言を、女としては強烈に思うところはあっても、自分の中の男はすごく感服している――そういう感覚でした。
寿命が半分になっても行動を起こす。
それは口先だけでない、本物の男の魅力がありました。
どうしてわざわざそんなことを? そう疑問に思う人は、生に行き詰ったことがない人なのかもしれません。
喘いで、もがいて、憔悴して、美食や美酒や情事や釣りや執筆に、命を注いだ方のような気がしました。



開高健氏を敬愛してらっしゃるヤスカイさんから、随分前にお勧めしていただいたシリーズです。
思い入れが深すぎて、このシリーズについて語ることができない…とヤスカイさんから聞いていましたので、これを書くこと自体恐れ多かったのですが……
結局アップさせていただきました。乱文申し訳ありません―失敗







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Last updated  2007.04.22 22:39:34
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