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カテゴリ:イギリス映画
主人公モンターグは禁止されている書物の捜索と焼却にあたる有能な消防士だったが、クラリスという女性と知り合った事から本について興味を持ち始める。やがて読書の虜となった彼の前には、妻の裏切りと同僚の追跡が待っていた……。 SF作家レイ・ブラッドベリの原作を、トリュフォーが初めて英語圏で製作した作品です。 人々の思考を操作するため、活字が抹殺された近未来。 消防士の仕事は、隠された書物を捜索し焼き去ることでした。 隣人や親戚からの密告が後を絶たない、管理社会の怖さと不気味さがよくでていて、古臭さも味になる。 トリュフォー監督といえば恋愛映画というイメージですが、こんなSFをしかもイギリスで撮っていたのですね~。 主人公が‘本’に触れてしまった時、その魅力にとり憑かれる様が印象的です。 人々の意識を自由に飛躍させる、知識の泉であり、人生の教科書でもある‘本’は、たとえ身を滅ぼしても、一度手にとってしまうと渇望して止まないものなのかもしれません。 活字中毒―という言葉があるように。 主人公が働く消防士たちの活躍が、とても地味なのが面白い。 網の台に本を載せて火炎放射器でボ~~ 屋根のない消防車も、立って乗る姿がシュール! スピード出したら落ちてしまいそう・・・ですが音楽の不気味さが異様さをアップしていて、B級っぽいのだけれど確かな見ごたえです。 本の虜となり、追われることとなった主人公は、妻との空虚な関係を埋めることができず、近所に住む女性・クラリスと急激に親しくなります。 彼女もまた本の魅力に取り付かれたひとり。 やがて反社会分子として、自分の仕事もなにもかもかなぐり捨て、ふたりが行き着く場所は、精神世界を描いたような幻想的な世界――。 本の内容を頭に入れている限り、誰にも手出しはできない。 本を焼くことはできても、人の記憶を奪うことはできない。 最後にたどり着く、世界の名著を生かし続ける方法は、今ではさして驚くような展開じゃないかもしれませんが、時が経っても褪せない味のある作品でした。 モンターグの妻とクラリスは、ジュリー・クリスティがひとり二役で演じています。 ちなみに、タイトルの「華氏451」は本が燃え始める温度のこと。 監督 フランソワ・トリュフォー 製作 ルイス・M・アレン 原作 レイ・ブラッドベリ 脚本 フランソワ・トリュフォー 、ジャン=ルイ・リシャール 撮影 ニコラス・ローグ 音楽 バーナード・ハーマン 出演 オスカー・ウェルナー 、ジュリー・クリスティ シリル・キューザック 、アントン・ディフリング ジェレミー・スペンサー (カラー/112分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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もう何十年も前に見た映画ですが、ひょっとするとトリュフォーの映画でいちばん好きかも知れない映画です。(トリュフォー・ファンの方には失礼ですが)恋愛映画と違って彼の品性の下劣さが表面に出てないのが良いのかも知れません。
禁じられている書物の所持を見つかって、ガラスのカバー被せられて「反省させられながら」死刑になるという世界は怖いと思った記憶があります。殺してしまう人に今さら反省させても意味はないことですから、誰かに苦痛を与えたわけでもないわけで、見せしめでしかないわけです。 ところでこの映画って支配層のことが出てきましたっけ?。一種の国家独裁体制なのでしょうか。その場合には上層部は書物に接することが出来るのでしょうか。とにかくこういう究極の管理社会では人として生きている意味は希薄だと思います。いずれ革命も起こることになるのかどうか。 (2007.05.11 02:06:53)
こんにちは。お久しぶりです!
トリュフォー監督の変り種映画ですね。 でもわたしも好きな映画になりました。 フランス映画がお好きな方には、抜きにしては語れないほどの存在感あるトリュフォーなのに、 なんとなく作品のインパクトが自分の中では(特に後期の・・)薄めでした。 でもこちらはすごくシュールでいいですね~ >映画って支配層のことが出てきましたっけ? 出てきません。 唯一出てきて、モンターグの上司でした。 背後が見えないだけに不気味です。 国家独裁体制だという雰囲気。 上層部はきっと見つけたらその場ですべて焼くので、触れることはできないと思われます。 ただどの階層にいても、本に興味を持って触れると虜になるのではないでしょうか。 中身を知りたい好奇心は絶大で、それほど本を魅力的に描いていたのが好きでしたw (2007.05.11 06:13:27)
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