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テーマ:本日の1冊(3697)
カテゴリ:本
もう幾度目かになる、敬愛する丸美作品を読み返してみる。 1977年に刊行されて、一度絶版になった後、一昨年復刊が決まった。 今は著作全18冊中(原作マンガ含む)16冊が手元に届いていて、残すところ最後の2冊が復刊されるのを待つのみとなっている。 (丸美さんについてはFreepage Listにて~) 私がこの数年間手にとってきた本は、少なからず丸美さんの影響を受けてチョイスされたものが多い。それほど影響を受けた人なのだ。 この本と私は同い歳。 出逢って、一緒に10年以上も年を重ねてきたいま、これまで感じたことのなかった感覚が湧いてきて、今回の再読は驚いてしまった。 そういえば先日『雪の断章』を読んだときも、そうだっけ。 丸美さんがこの本を出版したのは27歳の頃。その見識の広さと、深い心理追求と、魅力的な文体の虜になって、一心に作品世界に憧れていた。 おおまかに孤児シリーズと、この館シリーズがあって、私はどちらかといえば孤児派なので、読み込んだのはそちらが多いし愛着もそちらに多くわく。 けれどシリーズ内の『夢館』は大好き。 孤児シリーズが恋愛なら、館シリーズはミステリー。 自分が30代になって、作品にみていた憧れの気持ちが、大きく変わっていることにびっくりする。 すべてがしっくり、なされるがままに受身だったけど、気づいたら主人公たちが自分よりずっと年下になっていて(同い年くらいの気持ちだったのに!)、しかも当時の丸美さんより、自分が歳をとっていることに気づいてしまうと、複雑な心境だ。 高校生の頃から憧れてた、普遍と信じてきた世界が、今では妙にリアルに感じとれる。 作品に酔うばかりで、丸美さんの気持ちまで考えることのなかった、幼すぎる自分の精神年齢に今頃気づいて恥ずかしくなる。 それに気づけたみたいに、私はこれから、少しずつでも成長していくんだろう。いや、成長していかなければ。 精神の豊かさと、確固としてある作品世界から、もっと色々拾い集めて、素敵なねェさんになりたいなと思った。 そんなこんなで、マルミストさんのHPをうろうろしていて見つけた記事に、こんなことが書いてあった。 先日、直木賞に選ばれた桜庭一樹の『私の男』。この本も、じつは『雪の断章』の影響を受けているというのだ。 現代作家にとっても大きなインパクトだったんだなと思うと、嬉しくなった。 5月のG・W明けには、札幌の紀伊国屋書店で、丸美さんの原稿などを展示する展示会が催されるそうだ。 これは朗報!是非、いかなくては。 (あらすじ) 財産家のおばが住まう崖の館を訪れた涼子といとこたち。ここで二年前、おばの愛娘・千波は命を落とした。着いた当日から、絵の消失、密室間の人間移動など、館では奇怪な事件が続発する。家族同然の人たちの中に犯人が?千波の死も同じ人間がもたらしたのか?雪に閉ざされた館で各々推理をめぐらせるが、ついに悪意の手は新たな犠牲者に伸びる―――。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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