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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
典型的なサスペンスの妙味をたっぷり味わえた名作でした。 今現在、たくさんの映画の中で見られる手法があちこちに散りばめられていて、そういった演出を観ているだけで面白いです。古典には味わいがありますね~ ロンドンで殺人事件が発生。殺されたのは著名な女性歌手。犯人は捕まらず、彼女に育てられた姪のローラ(バーグマン)は、死んだ叔母の伝でロンドンを離れ、傷心イタリアへと留学します。 それから10年、声楽家で学んだ彼女は、伴奏を担当する作曲家のグレゴリー(ボワイエ)と恋に落ちて、やがて夫婦になります。 新居はグレゴリー達ての希望でロンドンの、ローラが相続したあの忌まわしい叔母の家に決まるのですが・・・。 ガス燈はなにも街頭だけではないのですね。本作では、室内で使われているガス燈を粋な小道具として、サスペンスを盛り上げていきます。 過去の殺人事件の忌まわしい記憶から、いまだ立直ることができないローラを、全霊で愛してくれるグレゴリー。しかし、ロンドンに住まうことになってから、彼の本性が姿を現し始め、怖ろしい事件の真相と新たなる陰謀が見えてくるのでした。 グレゴリーの陰険さといったら!それでも男なの!と言いたくなるほど、ある意味すごいです。小細工を重ねて、ねちねちとローラの精神を追い詰めていきます。もっとも、登場してすぐから嫌な予感はしているのですが・・・予感どおり彼は悪人なのです。 紳士の仮面を被り、毎夜作曲の仕事と偽って外出していくグレゴリーは、10年前の事件で遂げられなかった、ある計画を実行しているのでした。が、やがて意外なところから尻尾が。 それは、生前の叔母が可愛がっていたキャメロン警部(コットン)との偶然の出会い。キャメロンはローラに再会し過去を思い起こし、未解決事件の再捜査をはじめるのです。 果たして、グレゴリーの魔の手に落ち、心神喪失となっていくローラは救われるのか・・狂気との堺を彷徨っている彼女の運命は―――ご覧になってのお楽しみですね 見所は、シャルル・ボワイエ演じるグレゴリーの卑劣漢ぶりといっても過言ではありません。異常な言動をとる姿は、据わった目も、時々覗かせる本性も、なかり真に迫って怖いです。 時計や絵を隠しローラが失くしたと騒ぎ立てたり、なかったことをあったと主張したり、まるで健忘症であるかのように見せかけ、彼女を追い詰めていきます。自分を信じようと、健気に奮闘するローラは、それでもグレゴリーを疑えず、自分自身を疑ってしまう・・・。 誰もいないはずなのに何処かでガスを使っているように部屋のガス燈の灯りが急に小さくなること、階上で不気味な物音が聞こえること。不気味なことだらけでも、だれも気づかずだれも信じてはくれません。 病気扱いされ外出は許されず、おどおどとして暮す精神衰弱に陥った彼女は、遂には目を見て会話することもできなくなり、さらに追い討ちかけるグレゴリーには、まったく容赦はありません。 頼みの綱はキャメロン警部のみ捜査のみ。 影を使った巧みな演出や、ロンドンらしい霧の情景、ガス燈の趣が素晴らしい。 曲者のメイドたちも雰囲気作りに一役買っていました。 古典の名作なので、それなりの時を経た古さはあるものの、近年作られているサスペンス映画に遜色ないほど見応えある映画ではないでしょうか。 とっても面白かったです 死ぬまでに観たい映画1001本 監督 ジョージ・キューカー 製作 アーサー・ホーンブロウ・Jr 原作 パトリック・ハミルトン 脚本 ジョン・ヴァン・ドルーテン ウォルター・ライシュ ジョン・L・ボルダーストン 撮影 ジョセフ・ルッテンバーグ 音楽 ブロニスラウ・ケイパー 出演 シャルル・ボワイエ イングリッド・バーグマン ジョセフ・コットン (モノクロ/114分/アメリカ/GASLIGHT) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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