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テーマ:本のある暮らし(3187)
カテゴリ:本
瀬戸内晴美さん=寂聴さんは、業の深い方の代名詞のような人。 その人生があまりに過激で話題に富んでいるため、ドラマになったりしている。(観たことはないけれど) 書き下ろしの自伝的小説で、出家するに至るまでの、主人公の生を赤裸々に綴る。 始めは、出家して俗世を捨てた人が、わざわざこれを(不倫相手と交わされた生活の細部や会話)書かないでいいのでは?書いてちゃいけないのでは?なんて不快にさえなるのだけど、そのうち半分くらいまで進むと、そんな風にしか生きられないことこそ、主人公の業であるように感じられてくる。 ことに必死に向き合っているのだから、ある意味真っ当な生き方で、出家することでしか取り留められなかった恋とは・・・想像を越える情念であったはずだ。 情熱は続かない そうはっきりと仰る寂聴さん。それに私は耐えることができない、と。 いま穏やかに満面の笑顔を見られるのは、51歳のかの時、出家したおかげかもしれない。そうしなければ、いま生きておられたかどうかさえわからない。 30年に及ぶ尼僧としての日々は、寂聴さんを救い充実させたんだろうし、苦しい修行荒行の数々もすべて‘良かった’と思えるものなんだと思う。 景色が幾倍も美しく見えるようになった―――そんな言葉が胸に残った。 なんとも凄みのある方でも、人並みならぬ優しさが、男たちを引き付けたのだというから驚きだ。困っていれば助けずにいれない、受け入れずにいれない優しさなど、私にはないけど、そんなふうに保たれている男女関係は、案外多いのじゃないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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