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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
他人と上手く渡りあえない性格の雄二(オダギリ)は、おしぼり工場で働く同僚・守(浅野)と、公私ともに淡々とした日常を過ごしている。 ある時、大切に飼っていた猛毒のアカクラゲを雄二に託し、守が突然姿を消した。 工場の社長夫妻を殺害して逮捕されたのだ。 残されたされた雄二は戸惑いながらも、取り憑かれたようにクラゲの世話を始めるが、守は拘置所の中で、雄二にだけわかる合図を残し自殺してしまう―――。 独特な作風を持つ黒沢清監督。 評判はいたるところで聞くのに、なかなか見たい気持ちになれないのは、相性もあるのでしょう。 どちらかといえば男性に多く支持されそうな、柔らかくも男らしい映画を撮る印象。 主演二人の演技は自然体で、地に足のつかない浮遊した感じが良かった。 半透明の浮遊するクラゲが、さらにこの物語全体を掴みどころなくさせていく。 守、亡きあと、守の父親がひとり住み込みで働いている工場に、雄二は居すわることになる。 父親にとって、雄二と共に過ごすことは、息子に対する後悔と、向き合うことに他ならない。 それでも淡々と面倒をみる包容力は、大人に求められていることそのもので、若者がそれに気づく時はじめて、新しい未来は生まれてくるのだろうか。 松山ケンイチなど、いまや有名な若手俳優が、無気力な青年役で多数登場する。 雄二を筆頭に、若者の代表のようにして。 けれど不透明な未来は、けしてタイトル通りの『明かるい未来』にはならず、流れるまま漂うクラゲみたいに、落ち着くべき所に落ち着いて、物語は終わっていくのだった―――。 世間の評判はまずまずで、きっとドストライクの方もいるだろうに、見る人を選び、私にはぐっとこなかった。 ちなみに、衣装の奇抜さは疑問。 浅野さんの超自然な演技、オダギリジョーの名演技に、水を差す画面のうるささ。監督の狙うところの気取りが透けて見えてしまうのも、黒沢清監督はちょっと苦手・・と思ってしまう部分かも。 守が決めた、ふたりだけに分かる合図、こういうのは気恥ずかしくなってしまう。女性には理解しずらい行動なのかしらん。 結局、アブナイのは雄二よりも守で、人の無鉄砲を合図で諌めるより先に、自分を抑えていれば、、死ななくてすんだのに、、。 おすすめしてくださった荻々亭主人さん、ありがとうございました。 思いがけない中辛な感想になってしまいましたが、おすすめという主題歌はすごく良くて、帰省の旅に出ている間じゅう、頭の中に鳴っていましたよ。 監督・脚本 黒沢清 音楽 パシフィック231 出演 オダギリジョー 浅野忠信 藤竜也 笹野高史 (カラー/115分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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