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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
瓦屋根の古い家屋が建ち並ぶ小さな町。 警官の友川(奥田)は、平和なこの街で 荒んだ毎日を送っていた。そんなある日、 喫茶店で知り合った少女に誘われホテル へいく。やがてふたりは本気で惹かれあい 友川の退廃した人生も変わり始めるのだ が―――。 田瑛二による監督デビュー作。原作は、 中年男と少女の純愛を描いた、連城三紀 彦の短編小説。 なんとなく捨てておけない作品だった。 フランス映画を意識した音楽や演出からは、 ふしぎな情緒が漂う。昭和の匂いがぷんぷん するのに、どこかヨーロッパチックだ。 北野映画を思い出すアートを取り入れた画面、監督自らが出演する奇妙な間、外国で評価さ れるところもちょっと似ている気がする。 それでも中年男と少女の純愛から目を逸らせなかったのは、陽子役の小沢まゆの体当たり 演技がとても好きだったからだと思う。 の傍ら、まだ15歳で納棺師について死に化粧を学んでいる。とてもまともじゃない環境で育った 陽子は当然大人びて、中学校でも浮いた存在で友だちもいない。 そんな彼女がSOSを発し近づいたのが、背にじいちゃんの彫った刺青<比翼の鳥>が羽ばた く町の警官・友川だった――。 真剣な気持が、行けばゆくほど切なくなる。 障害を持つ兄のエピソードや、自殺した父親の記憶、友川と母の腐れ縁・・・・・ユーモアを交え ながらも、小さな町に淀んだ過去が重苦しくのしかかる。 情けない友川よりも、よほど真摯に現実を見据えて、陽子は生きている。 写真のとおり、陽子は背に刺青を入れるのだけれど、これって『蛇にピアス』よりずっとヘビーだ。 彫物師のじいちゃんが、今生の最後の仕事として陽子の背に刺青を彫らせほしい・・・・・・そう 哀願するのだった。 「そんなことしたらわたしお嫁にいけないよ ! 学校の検診だって温泉だって困るよ !」 現実的に当然断った陽子だけれど、紆余曲折あって結局彫ってしまうのだった。友川の背に 雄だけで羽ばたく鳥が両の翼と目を与えられるように―――。
の仕事道具はまだ電化されていない手作業、半端なく痛そうなのだ。小沢まゆの苦悶の表情 がたまらなくいい。奥田作品のエロスはこんなところにも表れてくる。 痛みに堪えて、やっと手に入れた<比翼の鳥>。 フランス映画のようなラストシーンに、ふたりの幸せを素直に喜べる爽やかなハッピーエン ド。あからさまに思えるオブジェには目をつむってしまおう。 原作は別物のようだけれど、読んでみたいなーと思った。
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Last updated
2011.08.21 21:17:33
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