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「季刊落語」編集部勤務の【緑】は、仕事の一環で寄席を見に「如月亭」に通っている。
そんなある時、二人の有望な若手落語家が、高座で二日連続失態を演じてしまった。 次の日、『三年目の幽霊』という噺の最中には、【三人目の幽霊】があらわれた!? 表題作『三人目の幽霊』を含む5作収録の連作短編集。 大学を卒業したばかりの緑は今まで全く落語を聞いたことがない。 目下、編集長・牧の指導で修行中。(編集部は牧と緑の二人だけ) 牧は季刊落語の編集を担当して30年の大ベテラン。師匠たちにも顔がきく。その鋭い洞察力を見込まれて、問題解決を頼まれることも。 失態が二日続いた後の三日目。トリ前“ヒザ”の演目は『三年目の幽霊』。 前座が幽霊に扮する(ゆーた、という)趣向もあって、熱演が終了した。 “ゆーた”は二人。のはずが、牧には【三人目の幽霊】が見えたという! 背後にある噺家二門の対立。いったい幽霊は誰だったのか? 他の作品、いずれも緑、牧が登場しますが、趣向は様々です。 ワイン、アクション(?)、絵の話などなど。 最後の『患う時計』は如月亭と築地亭を舞台にした落語がメインの話。 この中では『不機嫌なソムリエ』と『崩壊する喫茶店』が好きです。 (落語との関わりが薄い二つだ、笑) 人を思いやる心、がキーになる。オチもしっかりとついています。 牧さんにそれほど強いインパクトはないのですが、安心感があります。 落語についての話はとてもわかりやすいです。舞台裏の話なども含めて。 緑と同じく落語素人の私でも充分楽しめます。 解説で村上貴史さんが触れていますが、、落語を扱ったミステリーといえば、まず北村薫さんの【円紫師匠とわたしシリーズ】が思い起こされます。(が、他にも結構あるんですね)やはり与えた影響も大きいのでしょう。共通点も幾つかありますし。北村さんのシリーズは『空飛ぶ馬』しか読んでいないのですが、単なる二番煎じではなく、独自の色をだすことにも成功しているのではないでしょうか。 今回は珍しく、文庫分ではなくハードカーバー。 この方の本は『ツール&ストール』も買ってしまった。 個人的に、大倉さんと戸梶圭太には是非頑張ってもらいたいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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