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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあいと娘3人との5人暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。

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2007/08/24
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カテゴリ:生活

 酢水のスプレーを使って、戸棚の把手まわりを拭く。
 拭きながら、ひとというのは、汚れやごみをつくりながら生きているものなんだと、思わされる。
 手あか。埃。そうして、ごみ。
 手あかを酢の力を借りて、さっぱりとおとし、戸棚のとびらをあける。
 おおっ。
 ここは、シールの国なのだった。しばらく、雑巾の手をとめて、眺める。



 上の子どもが、保育園の友だちからもらったというシールを、冷蔵庫の扉に貼ろうとするのを見て、「待って〜」と叫んだ遠い日が、よみがえる。子どもにとって、シールというのは、とってもとても「いいもの」なんだ。その「いいもの」を、どこか、いつでも合える場所に、ぺたん、と貼りたくなる気持ち、よくわかる。わかるけれども、ちょっと待って〜だった。
「あのね、この戸棚のとびらの内側に、貼っていいよ。いっぱい、いっぱい貼っていいからね」
 これが、わたしの、咄嗟の提案だった。
 3人の子どもが、それぞれ、シールを貼りまくったとびら(の内側)が3ヶ所。どれも、いまとなっては、なつかしい3つの「シールの国」。
 友だちがくれた思い出のシール。ねだられて買った、ちょっと珍しいやつ。野菜にくっついていた農協のシールなんかも、あって、おかしい。なかには、わたしが便乗して貼りつけた、宝塚のスターのシールもある。
 なつかしいなあ。 



 おそらく、家具や電化製品にどしどし貼られたのだったら……、なつかしい気持ちにはなれなかっただろう。角をはやしながらシールをこそげ取ったりして、揚句の果てに「シール禁止!」なんて、叫んでいたのにちがいない。
 家のなかにも、そんなきわどい——つまり、イライラの種になるか、のちにいい思い出になるかというような、わかれ道が出現する。
「シールの国」は、わたしにしては、なかなかいい判断だったなあ。







Photo_3 シールの国!








Photo_4






戸棚を、久しぶりに拭く。



汚れていた。手あかって何だろうか。










Photo_5




戸棚には、ランチョンマット、デキャンター(瓶がころがらないように、フタ無しの
箱に入れてある)、チラシで折った箱、おやつ(カワキモノ)、小物(黒文字や、ナ
プキンペーパー、割りばしほか)を収納した小ひきだしが入っています。
下段左の箱のなかには、お茶漬けのリ、即席のスープ・味噌汁などがあります——ちょ
っとわくわくする箱。







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最終更新日  2007/08/24 10:00:00 AM
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