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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあいと娘3人との5人暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。

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2007/08/24
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カテゴリ:生活

 夫の実家に遊びに行く。
 埼玉県熊谷市に古くからつづく農家なので、両親はいまもふたりで田畑を守っている。1年中、とても忙しい。ほんとうは、わたしも、遊びに行っている場合ではないのだが、いつも、結果的に遊んでしまう。



 手伝うつもりで出かけても、気がつくと、くつろいでいる。
 わたしはバカ娘になって、土間でぼんやりしたり、ちちの話に耳を傾けたり、ははが打ってくれたうどんをつるつる食べたり、する。



 お墓にはかならず、参る。
 しかし、わたしのあれを「墓参」と呼んでいいのかどうか。
 というのは、墓参のたびに行う、墓の敷地内の植栽の「思いきった剪定」は、もはやわたしの趣味なのだ。墓にいるひとびと——死者は、千の風になって吹いているということだけれど、たまには、墓のあたりでまどろんだり、車座になって話し込んだりすることもあるだろう。少なくとも、誰かが花を手向けるときくらい、やってきてくれるのではないかな——は、「ああ、また来た、あの乱暴者が」とささやき交しているのにちがいない。
 道具は、剪定ハサミ、枝切りばさみ、のこぎり。
 風が通るように、また新しい芽を呼ぶために、一所けん命刈りこむ。いつしか、恍惚としてくる。そこらじゅうの見えないひとびとは、「やれやれ」とあきれながらも、ちょっとは喜んでくだすっているような気がする。で、声に出し「どういたしまして〜」と叫んで帰る。



 このたび。
 熊谷の家の蔵に前に、ごまがたくさん干してあった。太った白ゴマで、とてもとてもおいしいごま。ははが一升瓶に詰めてくれるこのごまが、わたしの台所の宝物だ。
 初めて、不思議なさやをつけたこの植物を見たとき、「あなた、誰?」と思った。ごまが、こんなふうに実るのだと知り、ちょっと涙が出そうになる。健気な姿だ。
 これをこのまま2〜3週間乾燥させると、褐色になり、さやがはじける。ゴザの上で逆さにし、手でたたいて実を振り落とすのだそうだ。ごみをよけ、選別すると、わたしたちが「ごま」と呼ぶごまになる。



 わたしはバカ娘にはちがいないが、ちちとははのつくった米、野菜は決して無駄にしないと誓いを立てている。この誓いを破ったら、そのときは、人でなしになる。



 



2_3



乾燥中の、ごま。
写真ではよく見えないかもしれませんが、
黒っぽいさやのなかに、ごまが実っています。








Photo_2




熊谷の白ごま。
かりかり梅(種をはずしフードプロセッサーにかける)。
干しわかめ(はさみで、ちょっとチョキチョキする)。
塩(伊勢神宮詣でのお土産に、いただいた塩)。
これらを混ぜて(塩は少し)、「ふりかけ」をつくりました。








Photo








「ふりかけ」を炊きたてのご飯に混ぜました。美味! 







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最終更新日  2007/08/25 12:29:29 AM
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