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私訳・源氏物語

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September 21, 2013
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カテゴリ:源氏物語

[源氏物語] ブログ村キーワード 

明石の姫君入内の準備中にも、
宰相の中将はもの思いがちでぼんやりしていらっしゃいます。

『考えてみれば我ながら執念深いな。

こんなに姫君を思っているのだから、関守だってお許しになるはずなのに。

内大臣殿も心の中では折れていらっしゃるようだから、
その時が来るまで待つ事にしよう』

と我慢なさるのも苦しくて、思い乱れていらっしゃるのです。

女君の方でも父・内大臣殿がそれとなくお話しになった中務宮の姫君とのご縁談を、

『もしもそれが本当なら、私を諦めたことになるわ』

と悲しいのです。

長い間離ればなれでいながらも
不思議に心が通じ合う両思いのお二方でいらっしゃるのでした。

内大臣殿もかつてはあんなに強がっていらしたものの、今ではすっかり困り果てて、

『中務の宮が婿にとお決めになったならば、
また新たな婿選びに頭を悩ますことになろう。

それでは相手が気の毒だし、こちらも人嗤われになってみっともない事になろう。

今更隠したところで、二人の関係はすでに世に知られているではないか。

この際こちらが折れて、中将を婿に迎えるしか方法はなかろう』

と、決心なさいました。

態度には表さないのですが、内大臣と宰相の中将は
心中恨み合っていらっしゃる仲ですので、

『いきなり申し出るのもいかがなものか。今までの恨みを解くために、
わざわざ座を設けるのは馬鹿らしい。何とか良い機会がないものか』

と考慮なさるうち、三月二十日は内大臣殿の母・大宮の御忌日ですので、
極楽寺に墓参りなさいます。






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最終更新日  September 21, 2013 01:51:22 PM
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