|
カテゴリ:源氏物語
明石の姫君入内の準備中にも、 『考えてみれば我ながら執念深いな。 こんなに姫君を思っているのだから、関守だってお許しになるはずなのに。 内大臣殿も心の中では折れていらっしゃるようだから、 と我慢なさるのも苦しくて、思い乱れていらっしゃるのです。 女君の方でも父・内大臣殿がそれとなくお話しになった中務宮の姫君とのご縁談を、 『もしもそれが本当なら、私を諦めたことになるわ』 と悲しいのです。 長い間離ればなれでいながらも 内大臣殿もかつてはあんなに強がっていらしたものの、今ではすっかり困り果てて、 『中務の宮が婿にとお決めになったならば、 それでは相手が気の毒だし、こちらも人嗤われになってみっともない事になろう。 今更隠したところで、二人の関係はすでに世に知られているではないか。 この際こちらが折れて、中将を婿に迎えるしか方法はなかろう』 と、決心なさいました。 態度には表さないのですが、内大臣と宰相の中将は 『いきなり申し出るのもいかがなものか。今までの恨みを解くために、 と考慮なさるうち、三月二十日は内大臣殿の母・大宮の御忌日ですので、 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
September 21, 2013 01:51:22 PM
|