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私訳・源氏物語

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佐久耶此花4989

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私が初めて源氏物語を手に取ったのは高校生だったでしょうか、谷崎源氏でした。そのころは王朝文学の雰囲気を感じるのがせいぜいで、面白さを感じるには至りませんでした。二度目に読んだのが田辺源氏で、30歳代でした。
 人生の明暗を実感する年代だったせいか、夢中になって読みました。源氏物語はもちろん、古典文学の面白さを教えてもらったのも、田辺聖子氏の作品からでした。
 当時はNHKラジオの古典講読でも、「源氏物語」を放送していたように記憶しています。
日曜日のお昼時、私は洗濯物を干しながら、あるいは食器を片付けながら、白坂道子さんの重々しく気品ある朗読に聞き入ったものです。
 NHKラジオでは「平家物語」も楽しく学びました。講師の上田正昭先生からは、古典文学の「読み取り方のようなもの」を教わったと思います。つまり、古典であれ現代文学であれ、生きた人間の情感を自分レベルで感じ取るところに読書の楽しみがあるのだ、というごく当たり前のことでした。
 当たり前のこととはいえ、その後カルチャー教室で平家物語を受講した時には「義経記」にはこう書いてあり、「源平盛衰記」にはこう書いてある、という「知識」ばかりで、私が期待した生身の人間の息遣いが全くなく、一日で退会したことがありました。
 私はすっかりカルチャーに失望してしまい、以来人に頼らず、自分の感性で読み進めることにしています。
 こう書くと「生意気な・・・!」と思われる方もいらっしゃるようですが、人生の辛苦をそれなりになめてきたならば、自分の気持ちや思いをベースにした「私訳」があっても面白いのではないかと思っています。


                         
          ★.。.:*・° ブログ目次 ★.。.:*・°


  (巻名やタイトル文字をクリックすると、過去のブログ記事に飛びます)


   ~~~~☆★ 私訳・源氏物語(現代語訳)☆★~~~~


桐壺 帚木 空蝉 夕顔 若紫 末摘花 紅葉賀 花宴   賢木 
花散里 須磨 明石 澪標 蓬生 関屋 絵合 松風 薄雲 朝顔 
乙女 玉鬘 初音 胡蝶  常夏 篝火 野分 行幸 藤袴
真木柱 梅枝 藤裏葉 若菜・上 若菜・下   柏木 横笛  鈴虫  夕霧  御法   匂宮 紅梅 竹河 橋姫  椎本(しいがもと) 総角(あげまき) 早蕨  宿木


     ~~~~☆★ 私の好きな源氏物語の女性たち ☆★~~~~

 
☆ 明石の上 (2008年10月23日)
☆ 六条御息所  (2008年7月12日) 
☆ 紫の上  (2008年6月8日)
☆ 紫の上と平知盛  (2008年6月30日)
☆ 末摘花  (2008年6月30日)
☆ 空蝉 (2009年5月23日) 
☆ 秋好中宮 (2009年7月2日) 
☆ 雲居の雁  (2006年4月8日)
☆ 朧月夜の尚侍の君  (2006年4月3日)
☆ 紫式部の想い  (2008年10月2日)
☆ 朝顔の姫宮(朝顔の斎院)  (2008年11月8日)
☆ 夕顔  (2008年11月8日)
☆ 髭黒の前の北の方  (2009年6月11日)
☆ 真木柱  (2009年6月25日)
☆ 落葉の宮  (2008年9月17日)
☆ 女三宮  (2008年8月30日)
☆ 葵の上  (2008年8月1日)
☆ 中将の君  (2008年7月6日)
☆ 花散里  (2008年6月29日)
☆ 若菜@与謝野源氏  (2008年5月30日)
☆ 藤壺の宮  (2006年7月30日)
☆ 玉鬘  (2006年5月2日)
☆ 玉鬘その後  (2006年5月5日)
☆ 稚児 匂の宮  (2006年4月26日)
☆ 稚児 若紫  (2006年4月16日)
☆ 桐壺の更衣 (2008年11月25日)


(卒論などのご相談・お問い合わせがありますが、無断転用はご遠慮ください。)


       ~~~~☆★ 源氏物語つれづれ ☆★~~~~


     それぞれの巻で、訳者として感じた事を綴っています。

☆ 宇治の大君@総角の巻 (2021年9月21日)
☆ はかなき世@橋姫の巻 (2019年4月8日)
☆ 光源氏@幻の巻 (2018年8月16日)
☆ ヒロイン退場@御法の巻 (2018年3月18日)
☆ 柏木・横笛の巻 (2016年9月9日)
☆ 最近のこと 16年9月 (2016年9月10日)
☆ 「心にかなはぬ世かな」@真木柱の巻 (2013年9月10日)
☆ 玉鬘@藤袴の巻 (2013年7月23日)
☆ 夕霧@野分の巻 (2013年6月4日)
☆ 内大臣一族 (2013年5月17日)
☆ 光源氏@常夏の巻 (2013年5月12日)
☆ 「深い目の色をした女の子」 (2013年3月23日)
☆ 「すべて、女の」@胡蝶の巻 (2013年3月22日)
☆ 光源氏@玉鬘の巻 (2013年2月10日)
☆ 大宮と花散里@乙女の巻 (2012年12月16日)
☆ 薄雲の巻での「見どころ多かり」について。 (2012年10月8日)
☆ 光源氏@朝顔の巻 (2012年10月10日)
☆ 六条の院 (2012年9月14日)
☆ 平安時代のカルテット (2012年7月15日)
☆ 末摘花と空蝉  (2012年6月7日) 
☆ 我が御髪の@蓬生  (2012年6月10日) 
☆ 源氏物語の女性たち・賢木の巻  (2011年11月5日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -13- (2011年9月7日)
☆ 鬱気分の樋口一葉 (2011年10月2日)
☆ 光源氏の魅力・私の場合 (2011年12月21日)
☆ 源氏物語の女性たち (2009年6月10日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -12- (2010年12月15日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -11-  (2010年11月14日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -10-  (2010年9月12日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -9- (2010年7月11日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -8- (2010年4月23日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -7-  (2010年4月22日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -6-  (2010年3月13日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -5-  (2010年3月11日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -4-  (2010年2月27日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -3-  (2010年2月16日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -2-  (2010年2月16日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について -1-  (2009年12月10日)
☆ 私訳(現代語訳)・源氏物語について (2010年1月27日)
☆ 六種の薫香 (2008年11月22日)
☆ 紫式部の想い (2008年10月2日)
☆ 源氏物語の女人たち (2008年8月20日)
☆ 閑話休題 (2008年6月23日)



☆ 御伽草紙・一寸法師 (2009年3月3日)
☆ 御伽草紙・浦島太郎 (2009年2月21日)



          ~~~~☆★古典の女性たち☆★~~~~

☆ 清少納言@枕草子 (2006年4月7日)
☆ 但馬皇女 (2006年3月26日)
☆ 和泉式部 (2006年3月21日)
☆ 額田王 (2006年3月16日)
☆ 木曽義仲とともゑ (2008年10月4日)



        ~~~☆★文章・受賞歴などのエッセイ☆★~~

☆ 札幌市民文芸・奨励賞に (2019年8月31日)
☆ 早めのクリスマス・プレゼント (2008年11月7日)
☆ 「随筆春秋賞」受賞! (2008年12月13日)
☆ 文章 (2006年3月19日)
☆ 書くことの意味 (2008年9月16日)
☆ 古語辞典 (2008年10月12日)
☆ 同人誌 (2009年1月6日)
☆ 授賞式 (2009年5月9日)

              

         ~~~☆★キリスト教関係のエッセイ☆★~~~~


☆ 宗教の持つレトリック (2012年5月22日)
☆ 金の輪 (2006年4月20日)
☆ 感謝と慎み (2006年4月1日)
☆ なぜ弱く生きてはいけないか (2006年2月14日)
☆ 異端の青年 (2006年2月2日)
☆ ごんぎつね (2006年2月6日)
☆ 希望 (2006年3月18日)
☆ 言い訳 (2006年5月7日)
☆ 言葉の花かご (2006年5月8日)
☆ 被造物 (2006年5月30日)
☆ シラ書25章 (2007年7月16日)
☆ 求める心 (2006年7月11日)
☆ トライ&エラー (2006年8月13日)
☆ 「タラントン」のたとえ (2006年8月18日)
☆ 「ぶどう園の労働者」のたとえ (2006年8月26日)
☆ 笛吹けど、踊らず (2006年8月27日)
☆ 「互いに愛し合いなさい」ヨハネ1-3:11 (2006年9月3日)
☆ 奇妙な終わり方 (2008年8月28日)
☆ ことばのもつ多様性 (2006年1月15日)
☆ アナログな思考で (2006年2月27日)


        ~~~~☆★音楽・映画関係のエッセイ☆★~~


☆ バベットの晩餐会・静かな宗教者批判 (2022年4月20日)
☆ 時知らず・小さな恋のメロディ (2019年3月26日)
☆ イツァーク・パールマン (2014年1月22日)
☆ ハイドン・チェロ協奏曲1番(小澤征爾&水戸室内管弦楽団) (2012年3月11日)
☆ 凄まじいピアニスト (2011年1月4日)
☆ 宗教的な音楽 (2006年4月28日)
☆ マタイ受難曲 (2009年1月29日)
☆ バッハやヘンデルって・・・ (2006年1月17日)
☆ バッハのチェンバロ協奏曲 (2006年2月12日)
☆ コンサート (2006年3月14日)
☆ 怒りの男 (2006年5月7日)
☆ ゴールドベルグ・ヴァリエーション (2006年5月26日)
☆ バッハ・シンフォニア (2006年7月15日)
☆ ラフマニノフのピアノ協奏曲 (2008年6月1日)
☆ 演歌「さざんかの宿」の歌詞に対する倫理的考察 (2006年9月10日)
☆ チェンバロ曲 (2008年8月27日)
☆ オペラ「茶経」 (2007年10月28日)
☆ 行間・間 (2010年9月28日)
☆ アンドレイ・タルコフスキー監督作品「ストーカー」 (2012年1月21日)
☆ 向田邦子ドラマ「阿修羅のごとく」 (2011年7月30日)
☆ アッバス・キアロスタミ監督作品「風が吹くまま」 (2012年1月5日)



          ~~~☆★中医学関係のエッセイ☆★~~~


☆ 成都研修旅行 (2006年11月9日)
☆ 上海研修旅行 (2007年12月13日)
☆ 中医学の本質 (2009年2月12日)
☆ チョコレート (2007年2月10日)
☆ M先生と私 (2010年3月27日)
☆ 複雑な気持ち (2012年8月20日)
☆ 勝負 (2006年2月22日)


          ~~~☆★その他のエッセイ☆★~~

☆ 転居 (2013年12月17日)
☆ 出生のヒミツ (2011年9月22日)
☆ 設定・接続 (2012年6月30日)
☆ 上病下取、下病上取 (2012年2月21日)
☆ 恵庭のカフェ (2011年9月25日)
☆  (2011年8月11日)
☆ 感受性の違い? (2011年8月10日)
☆ 今さらケイタイ (2010年5月20日)
☆ 生放送初体験 (2010年5月27日)
☆ レクサス衝動買い (2009年10月11日)
☆ レクサス・ハイブリッドが来るまで (2010年2月2日)
☆ 私のレクサス (2010年3月2日)
☆ クレーマー・ある牧師の場合 (2010年11月19日)
☆ クレーマー・ある女性の場合 (2010年12月7日)
☆ クレーマー・「牧師」と「ある女性」に共通するもの (2010年12月12日)
☆ ペーパー・ウェイト  (2010年7月10日)
☆ レクサス・グッズ (2010年7月9日)
☆ 身近な出来事 (2010年6月18日)
☆ 女を貶しめる者は、女 (2010年3月17日)
☆ 裁判 (2009年7月30日)
☆ プライド (2009年10月21日)
☆ こころとからだ (2006年2月4日)
☆ 長い手紙 (2008年10月16日)
☆ 「松むし」有島安子 (2008年8月13日)
☆ 定休日 (2009年5月20日)
☆ 納税 (2009年3月17日)
☆ 不思議なできごと (2009年1月8日)
☆ インタビュー (2008年12月10日)
☆ 小樽散策 (2008年7月9日)
☆  (2007年10月26日)
☆ 奈良のねこたち (2006年8月19日)

☆ 媚びない生き方 (2006年7月29日)
☆ くも (2006年7月2日)
☆ ねこ (2006年5月27日)
☆ 私は時々…… (2006年5月9日)
☆ 与えられた場で (2006年4月21日)
☆ しぐさの美(小磯良平) (2006年4月15日)
☆ 秋田~新潟~石川~福井 (2011年7月12日)
☆ 仙台~平泉~八戸 (2010年10月6日)
☆ 福島~猪苗代湖~磐梯~仙台 (2012年6月15日)
☆ 「井戸端の女」と「水を運ぶ女」 (2006年3月12日)
☆ 暮らしのうるおい (2006年3月30日)
☆ 部活 (2012年10月2日)
September 20, 2023
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カテゴリ:源氏物語
宮はいつにもましてしみじみと中君にお話しなすって、

「お食事を召し上がらないと、お身体に障りますよ」

と、仰せになりおいしそうなお菓子をお召し寄せになります。

さらに料理人には食欲の出るような料理を特別お命じになるのですが、
中君は一向に手をお付けになりません。

「全く困ったことですね」

と、ため息をついていらっしゃいましたが、
日が暮れてしまいましたのでご自分の寝殿にお渡りになりました。

秋風が涼しく吹いて、空の景色も風情ある季節になりました。

宮は当世風の派手好みでいらっしゃいますのでこの季節にふさわしく、
ことさらあでやかでいらっしゃるのですが、
中君のお心の中は悲しみでいっぱいで、
風情ある景色も蜩の啼く声にも宇治の山荘ばかりが恋しくて、

「おほかたに 聞かましものをひぐらしの 声うらめしき 秋の暮かな

(宇治で暮らしていたころは聞き流していた蜩の声も、
この秋の暮は恨めしく思われてなりません)」。

宮は、まだ夜が更けぬうちにお出ましになります。

中君は御先払いの声が遠ざかるのをお聞きになりながら、
海士が釣りするほど涙が流れ、
『我ながらみっともない嫉妬心よ』と思いながら臥していらっしゃいます。

『宮さまの夜離れは今始まったことではなく、宇治で出会ったころからだった』
と思いますと、
今更こんなに嫉妬するご自分を疎ましく思っていらっしゃるのです。

『苦しいつわりも、この先どうなることやら。
父君も母君もそれに姉君まで短命でいらしたから、
出産の機会に私も命を落とすことになるかもしれない。

命は惜しくないけれど、後にお残しする宮さまやお子に対して、
罪深い行いになるわね』

など、眠れぬままに思い明かしていらっしゃるのでした。





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最終更新日  September 20, 2023 05:12:10 PM


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