千の風にのって
風鈴や 亡き人影の 窓よぎる 俊介かみさんがなくなったのは、七夕の日だった。前日の7月6日は闇夜の新月。願い事を紙に書いて願うとかなう日とか。かみさんが、亡くなった時、スポーツ仲間が詩集をくれた。それは、とても心やすらぐ詩だった。その詩の名は“千の風になって”「私のお墓の前で 泣かないでくださいそこに私はいません 眠ってなんかいません千の風に 千の風になってあの大きな空を 吹きわたっています秋には光になって 畑にふりそそぐ冬にはダイヤのように きらめく雪になる朝は鳥になって あなたを目覚めさせる 夜は星になって あなたを見守る私のお墓の前で 泣かないでくださいそこに私はいません 死んでなんかいません千の風に 千の風になってあの大きな空を 吹きわたっています千の風に 千の風になってあの 大きな空を 吹きわたっていますあの 大きな空を 吹きわたっています」 写真詩集、新井満『千の風になって』(講談社)から。新井満さんが歌っているCDは『千の風になって』(ポニーキャニオン)絵本、新井満・文、佐竹美保・絵の本は『千の風になって』(理論社)南果歩主演『天国への手紙』の映画化もされました。次に南風椎氏の訳を紹介しましょう。この詩が日本で初めて書籍として発売されたのは、小さな本の写真詩集南風椎『あとに残された人へ1000の風』(三五館)から。“ 1000の風” 私の墓石の前に立って涙を流さないでください。 わたしはそこにはいません。眠ってなんかいません。 私は1000の風になって吹き抜けています。 私はダイアモンドのように雪に上で輝いています。 私は陽の光になって熟した穀物にふりそそいでいます。 秋にはやさしい雨になります。 朝の静けさのなかであなたが目ざめるとき 私はすばやい流れとなって駆けあがり 鳥たちを空でくるくる舞わせています。 夜は星になり、私は、そっと光っています。 どうか、その墓石の前で泣かないでください。 私はそこにいません。私は死んでいないのです。 この詩には英語の原詩があった。 ”A thousand winds”Do not stand at my grave and weep;I am not there, I do not sleep.I am a thousand winds that blow.I am the diamond glints on snow.I am the sunlight on ripened grain.I am the gentle autumn's rain.When you awaken in the morning's hush,I am the swift uplifting rushOf quiet birds in circled flight.I am the soft stars that shine at night.Do not stand at my grave and cry;I am not there, I did not die.長い間、作者不詳の詩と思っていた。今日、ネットで検索したら、メアリーという少女が書いた詩だった。詩の生まれた経過が詳しく書いてあった。http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/prof/1000winds.htmlいまや作曲されて、静かな曲も聴くことができる。http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/sennokazeninatte.htmlネットは、空渡る風のように多くの孤独な人の心を結びつける不思議な魔法のようなもの初夏の風のように丘の上へ駆けのぼり首の長い渡り鳥のように季節の空を自在にゆききして国境を超えて世界をかけめぐり優しい羽音を残していく亡くなった人の心にも残された人の悲しみにも